【遺産分割】相続財産の調査方法
東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。 |
相続財産の調査というのは非常に重要です。そして、相続開始後、速やかに行わなければなりません。相続放棄をするにしても、限られた期間内に行わなければならないのです。そこで、相続財産(遺産)の調査方法について解説いたします。
目次
相続財産の調査が必要な理由
①相続財産の全容を把握しないと、適切な相続税の計算が行えない。
②相続財産の全容を把握したうえで、遺産分割協議を行わいと、後日、紛争が生じる可能性があります。
③限られた期間内で相続放棄するかどうかの判断が出来ない
②については、相続財産に漏れがある状況で遺産分割を行うと、後日発見された相続財産について新たなに遺産分割協議を行わなければならなくなります。これは、煩雑ですし、揉めた場合は、当初の遺産分割協議からやり直さなければならなる可能性もあります。
③については、相続財産が負債より多ければ相続放棄をしないで済むのですが、相続財産の調査を怠り把握できない状況ですと、負債超過と勘違いして相続放棄をするという誤った選択をすることとなります。また、負債も相続財産に当たりますので、後述する通りしっかり調査をしないと、本来相続放棄すべきであったのにそれが出来ず、負債を相続することにもなりかねません。
以上のことから、相続財産を限られた期間内で漏れなく調査することが必要となります。
以下に記載しているとおり、相続人個人で調査することが出来ます。
相続財産の調査方法
預金通帳や郵便物は調査において重要な情報源です。
通帳内の取引を見ると、証券会社への送金、証券会社からの入金、保険料の引き落とし、固定資産税の引き落とし、といった財産を探すうえで手がかりとなる情報を見つけることが出来ます。
証券会社や金融機関からの郵便物も財産を探す手がかりとなります。
これらを手掛かりにして、後述する財産ごとに調査をしていくことなります。
預貯金の調査
通帳、キャッシュカード、銀行からの手紙からどの金融機関に口座を開設していたかを特定していきます。
⑴ 金融機関の特定が出来ている場合
金融機関の特定が出来たら、その金融機関に対し、残高証明書の発行を求めることになります。
相続人であれば、一人で申請することが可能です。
申請方法は、各金融機関のホームページに記載があります。
注意点は、各金融機関で定める発行手数料(1通あたり1000円程度)がかかること、
必要書類として、以下のものが必要となることが多いです。
①被相続人が亡くなったことがわかる戸籍謄本
②相続人であることがわかる戸籍謄本
③申請者の実印、印鑑証明書
残高証明書は、相続開始後に残高が増減している可能性がある場合には、相続開始時と残高証明書の取得時の両方を取得しておくと後々便利で、手間も省けます。
また、相続人の一人が生前または死亡後に無断で預金を引き出している可能性がある場合には、取引履歴の申請を金融機関に行いましょう。入出金を確認することが可能となります。
⑵ 金融機関の特定が出来ない場合
被相続人の自宅周辺にある金融機関、配偶者等近い親族が口座を持っている金融機関に当たりを付けて確認してみましょう。
弁護士に依頼して、特定の金融機関に全店照会(全支店に口座保有の有無を確認する)を行ってもらいましょう。
口座があることが判明したら、前述のとおり、被相続人の死亡時点における残高証明書を取得していきます。
不動産の調査
⑴ 権利証(登記識別情報通知書)
土地であれば地番、建物であれば家屋番号を特定し、登記簿謄本で権利関係を確認することになります。
では、どうやって、地番や家屋番号を調べるのか。
一番は、権利証(登記識別情報通知書)を見つけることです。
自宅を探しても権利証が出てこない、という場合は、次に説明する名寄帳を取得することとなります。
⑵ 名寄帳
名寄帳とは、各市町村が固定資産税を課税するために作成している固定資産税台帳を所有者ごとにまとめたものです。
当該市町村内にて所有している不動産を一覧で確認することが出来ます。
固定資産税の納税義務者すなわち不動産の所有者の相続人であれば申請可能です。
⑶ 登記簿謄本
法務局で登記簿謄本を取得します。その際は、共同担保目録付きで申請します。
甲区欄で被相続人名義のものかどうかを確認し、乙区欄の共同担保の記載を確認し、その他の不動産も共同担保として設定されている場合には、その他の不動産についても登記簿謄本を取得して甲区欄の名義を確認しましょう。
たまに、家屋が未登記であるといったケースがあります。未登記であっても、被相続人名義であれば相続財産です。
固定資産税の評価を受けていれば、名寄帳や固定資産税納付通知書、固定資産評価証明書にて確認することが可能です。
株式の調査
⑴ 通帳、郵便物から証券会社が特定できる場合
通帳内の記載や証券会社からの郵便物からどの証券会社と取引があったかが判明している場合、その証券会社に対して残高証明書の発行を申請します。これは、預貯金の残高証明書の発行を求めるのと同じです。
法定相続人であることが分かる書類の提出を求められます。
⑵ 証券会社が特定できていない場合
証券会社の特定が出来ない場合、証券保管振替機構に対して登録済加入者情報の開示請求を行うことになります。
証券保管振替機構は、通称「ほふり」と呼ばれていて、証券会社から預けられた投資家の株式等を保管し発行会社へ株主通知を行うなどしている振替機関です。
被相続人がどの証券会社に証券口座を保有しているのか開示してもらうのです。
開示によって証券会社が特定できたところで、各証券会社に対し、死亡日時点での残高証明書の発行を求めることとなります。
借金・債務の調査
借金も相続されます。すなわち、負の財産です。
被相続人に借金があるのかどうか、何となくあるというのは知っているけどどこから借入していたのか、分からない場合が多いかと思います。
その場合は、信用情報機関に対して開示請求を行います。
信用情報機関というのは、銀行やクレジットカード会社、消費者金融が加入している団体です。貸付やローンの審査の際に、どれくらい負債があるのか、返済に滞りがないかなどの情報を相互に共有し与信判断に使用しているのです。
信用情報機関には以下の団体があります。
注意点としては、これら信用情報機関に開示請求して明らかににあるのは、貸金業者等への負債であって、知人や親族などの個人からの借り入れに関してはわかりません。
まとめ
相続財産の調査は相続人自身で行うことが可能です。
初めて行うという方が大半であり慣れていないことから大変な心労を感じる方もいらっしゃいます。
弁護士にご依頼なされば、煩雑な調査も全て任せることが出来ます。
当事務所では相続トラブルについて多く扱っています。
初回相談料は無料です。
リモートによる相談も可能で、遠方にお住まいの方からの依頼も承っております。
ご相談は事前予約制です。問い合わせフォームからお問い合わせいただき、面談の予約をお取りください。
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