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遺留分とは?遺留分侵害額請求の計算方法・期限(時効)・生前贈与/不動産の注意点を弁護士が解説|鈴木淳也総合法律事務所(錦糸町)

カテゴリ: 相続・遺産分割 公開日:2025年05月22日(木)

遺留分とは?遺留分侵害額請求の計算方法・期限(時効)・進め方を弁護士が解説【東京都墨田区・錦糸町】

遺留分の基礎と遺留分侵害額請求のポイント

 

ご家族が亡くなったあと、遺言書の内容を見て「自分には一切相続させない」「特定の相続人や第三者にすべて渡す」と書かれていた場合、遺留分(いりゅうぶん)の問題が生じることがあります。

遺留分は、一定の相続人に最低限保障される取り分です。ただし、実際に請求できる金額(遺留分侵害額)は、生前贈与・不動産・借金などが絡むと計算が複雑になり、さらに期限(時効)もあるため、話し合いを続けているうちに取り返しがつかない状況になることもあります。

この記事では、遺留分の基本から、遺留分侵害額請求の考え方、計算の全体像、期限の注意点、手続の進め方まで、実務の感覚も交えて分かりやすく解説します。

 

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遺留分のご相談で多いのは、次のようなケースです。

  • 遺言書で自分の取り分がゼロ(または極端に少ない)になっている
  • 兄弟の一人が不動産をすべて取得しており、金銭の調整ができていない
  • 生前贈与(贈与・名義預金・不動産の贈与)があって、全体像が分からない
  • 「いつまでに何をすればいいか(期限)」が分からず不安

まずは「誰が請求できるのか」「期限」を押さえ、次に「計算の全体像」を理解することが、損をしない第一歩です。

 

1.遺留分とは?遺言があっても守られる最低限の取り分

遺留分とは、一定の法定相続人に保障される「最低限の取り分」です。遺言書は尊重されますが、内容によっては相続人の生活保障などの観点から、遺言の効果がそのまま貫徹されない場面があります。

よくある例

例1:相続人が子ども2人なのに「全財産を長男に相続させる」という遺言がある。次男は一切もらえないのか?

例2:法定相続人ではない第三者に「全財産を遺贈する」とある。家族は何も請求できないのか?

結論として、遺留分がある相続人であれば、遺言があっても遺留分に相当する金額を請求できる可能性があります(ただし、相続欠格・廃除、そもそも財産がほとんどない場合など、個別事情によって結論が変わることがあります)。

2.遺留分を請求できる人・できない人(兄弟姉妹にはない)

遺留分が認められるのは、被相続人(亡くなった方)の配偶者・子(またはその代襲者)・直系尊属(親や祖父母)です。反対に、兄弟姉妹には遺留分がありません

ポイント:たとえば「妻と被相続人の兄」が相続人で、遺言で全財産が妻へ、とされている場合、兄は遺留分を根拠に妻へ金銭請求をすることはできません。

まずは「自分が遺留分権利者に当たるか」を確認してください。ここが違うと、請求できるかどうかの前提が変わります。

3.遺留分の割合と目安(「割合」と「金額」は別)

遺留分は「相続財産に対する割合」として決まります。配偶者や子がいる一般的なケースでは、遺留分の総体は原則1/2です。一方、直系尊属だけが相続人になる場合は原則1/3になります。

遺留分割合の一覧

注意:ここでいう「割合」は、あくまで入口です。

実務で問題になるのは、どの財産を基礎に計算するか(生前贈与の扱い、不動産評価、借金の控除など)と、すでに取得した分をどう差し引くかです。次章以降で全体像を整理します。

4.遺留分侵害額請求とは(2019年改正で何が変わった?)

遺留分侵害額請求とは、遺留分が侵害されている場合に、侵害した人(相続財産を多く取得した相続人や受遺者など)に対して、侵害された金額の支払いを求める制度です。

2019年の法改正(施行:2019年7月1日)により、従前の「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ整理され、原則として金銭で調整する仕組みになりました。

改正後の実務イメージ

不動産が特定の人に遺贈されている場合でも、ただちに不動産を「取り戻して共有にする」ことが中心になるわけではなく、侵害額を金銭で請求して解決を目指すのが基本線になります(事案により解決の形は異なります)。

そのため、請求にあたっては「いくら侵害されているのか」を整理する必要があり、ここが争点になりやすい部分です。

5.遺留分侵害額の計算方法(基礎財産・控除・取得分差引の全体像)

遺留分侵害額の計算は、ざっくり言えば次の流れです。細部は案件ごとに異なりますが、全体像を押さえるだけでも判断が楽になります。

計算の全体像(一般的な考え方)

  1. 基礎財産(相続財産+一定の生前贈与−債務)を把握する
  2. 基礎財産に遺留分割合を掛けて「遺留分額」を出す
  3. すでに取得した分(遺贈・生前贈与・相続分など)を踏まえ、侵害額を整理する

(1)基礎財産とは何か

遺留分の計算で最初に問題になるのが、何を「基礎財産」に入れるかです。預貯金・不動産・株式などの相続財産に加え、一定の生前贈与が加算されることがあります。逆に、借金などの債務は控除されるのが原則です。

(2)不動産評価・名義預金・保険など「揉めやすい財産」

実務では、財産の“種類”よりも「評価」や「実質」が争点になります。たとえば不動産は、固定資産税評価額・路線価・実勢価格など、状況によって参考にされる指標が異なり得ます。名義預金(名義は子でも実質は親の財産)や、保険金の扱いなども、事案により検討ポイントが変わります。

自分で計算するとズレやすい理由

  • 「基礎財産」に入る贈与の範囲が一律ではない
  • 不動産評価や名義預金の認定で前提が変わる
  • すでに取得した分の整理(どこまで取得とみるか)で結論が動く

目安は作れても、交渉や手続で通用する整理には、資料と法的整理が必要になることが多いです。

6.生前贈与・不動産があるときの注意点(揉めやすいポイント)

遺留分トラブルで特に揉めやすいのが、生前贈与不動産です。ここを誤ると、請求額の見通しが大きく変わります。

(1)生前贈与はどこまで遡るのか

一般的には、相続開始前1年以内の贈与は基礎財産に加算されることが多い一方で、当事者が遺留分を侵害することを知って贈与したような場合には、それ以前の贈与が問題となることがあります。どこまでが対象になるかは、贈与の経緯・当時の事情・関係性など、個別事情が影響します。

よくある悩み

  • 生前に特定の子だけが多額の援助を受けていた
  • 不動産の名義を移していた(贈与か売買か)
  • 生活費名目の送金が実質的に贈与ではないか

(2)不動産は「評価」と「分け方」で揉めやすい

不動産が絡む場合、評価の前提(どの指標を基準にするか)だけでなく、実際の解決(現金がない、分割払いにしたい、売却したくない等)も問題になります。改正後は金銭請求が中心ですが、支払原資の確保や、相続全体(遺産分割)との調整が必要になることが多いです。

7.期限(時効)に注意:1年・10年ルールとよくある失敗

遺留分侵害額請求で最も重要な注意点の一つが、期限(時効)です。一般に、遺留分侵害額請求には「知ってから1年」「相続開始から10年」といった期間制限があり、期限を過ぎると請求が難しくなることがあります。

よくある失敗

  • 親族間で話し合いを続けていたら、いつの間にか期限が迫っていた
  • 資料が集まらず、計算が固まらないまま時間が経ってしまった
  • 相手がのらりくらりと交渉を引き延ばしていた

期限が心配な場合は、早めに「どの手続を選ぶか」「どの資料が必要か」を整理し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。

8.遺留分を請求する側の進め方(交渉・内容証明・手続)

遺留分を請求する場合、一般的には次の流れで進みます。早い段階で「争点はどこか」を見極めるほど、無駄な対立を避けやすくなります。

  1. 資料の収集(遺言書、財産資料、贈与の有無、相続関係)
  2. 侵害額の整理(基礎財産と取得分の検討)
  3. 交渉(必要に応じて内容証明で通知)
  4. 手続(調停・訴訟など、状況に応じて選択)

内容証明は「相手に請求の意思を明確に伝える」手段として用いられることが多いですが、案件によって最適な進め方は異なります。相手の反応や財産状況を見ながら、早めに方針を決めることがポイントです。

9.遺留分を請求された側の対応(まず確認する点・落としどころ)

反対に、遺留分侵害額請求を受けた側も、落ち着いて確認すべきポイントがあります。請求が来たからといって、金額がそのまま正しいとは限りません。

(1)まず確認すること

  • 請求者が遺留分権利者か(範囲)
  • 基礎財産の前提が妥当か(生前贈与・不動産評価・債務控除)
  • 取得分の整理に漏れがないか(請求者がすでに取得しているものがないか)

(2)支払方法・分割・担保など現実的な落としどころ

金銭で調整する制度である以上、支払原資が問題になります。分割払い・支払期限・一部清算・不動産をどうするか(売却・代償など)といった現実的な調整が必要になることが多いです。

放置は危険:期限や手続の進行に影響する可能性があるため、「とりあえず無視」は避け、早めに状況整理をすることをおすすめします。

10.遺留分は相続全体の一部:早期整理のための考え方と相談導線

遺留分の問題は、単独で起きているように見えて、実際には遺産分割・特別受益・寄与分などの論点と絡み合うことが少なくありません。遺留分だけを切り取って進めると、後から全体調整が必要になり、かえって紛争が長期化することもあります。

早期整理のための考え方

  • 相続人関係と遺言の内容を確定する
  • 財産(預金・不動産・保険・株など)と債務を一覧化する
  • 生前贈与や特別受益の可能性を整理する
  • 期限を見据えて、交渉・手続方針を決める

相続全体の流れや、相続トラブルの解決方針・費用については、相続分野トップページで整理しています。併せてご覧ください。
▶ 相続(遺産分割)に関するご相談はこちら

11.遺留分に関するよくある質問(Q&A)

Q1.遺言書があっても遺留分は請求できますか?(クリックで回答表示)
A 遺留分権利者(配偶者・子・直系尊属)であれば、遺言書があっても遺留分侵害額請求が問題になることがあります。相続全体の整理は 相続分野トップページもご参照ください。
Q2.兄弟姉妹にも遺留分はありますか?(クリックで回答表示)
A 兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分が認められるのは配偶者・子・直系尊属です(具体事情により検討が必要な場合があります)。
Q3.遺留分侵害額は自分で計算できますか?(クリックで回答表示)
A 目安を出すことは可能ですが、生前贈与の範囲や不動産評価、債務控除、取得分の整理で結論が変わることがあります。争いが見込まれる場合は早めに資料を揃え、専門家に相談することをおすすめします。
Q4.生前贈与はどこまで計算に入りますか?(クリックで回答表示)
A 一般に相続開始前1年以内の贈与が問題になる場面が多い一方、当事者が遺留分侵害を知っていた場合など、個別事情により検討が必要になることがあります。贈与の経緯や資料の有無で見通しが変わります。
Q5.期限(時効)が心配です。何をすればいいですか?(クリックで回答表示)
A 遺留分侵害額請求には期間制限があるため、早めに相続関係・遺言・財産資料を整理し、交渉や手続の方針を決めることが重要です。迷う場合は早期にご相談ください。お問い合わせフォーム
Q6.請求された側ですが、すぐに全額払わないといけませんか?(クリックで回答表示)
A 金額の前提(基礎財産・評価・取得分)が妥当か確認が必要です。支払方法も、分割払いなど現実的な調整が検討されることがあります。状況により対応が変わるため、早めに整理しましょう。
Q7.不動産しかなく、現金がありません。どうすればいいですか?(クリックで回答表示)
A 不動産の評価や売却の可否、代償金の支払方法など、相続全体の調整が必要になることが多いです。相続分野全体の相談は こちらをご覧ください。

12.遺留分侵害に関するご相談は当事務所へ

錦糸町の弁護士に相談(遺留分)

遺留分侵害の問題は、計算が複雑になりやすく、さらに期限(時効)の管理が重要です。親族間の感情的対立も起きやすい分野のため、早期に方針を固め、適切な手続選択をすることが解決への近道になります。

遺留分を請求したい方、請求された方は、当事務所へご相談ください。初回は無料相談となります。

ご相談方法

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