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錦糸町の弁護士へ法律相談 | 鈴木淳也総合法律事務所 - 【相続放棄のメリット・デメリット】単純承認と3か月過ぎた後の対応

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【相続放棄のメリット・デメリット】単純承認と3か月過ぎた後の対応

カテゴリ: 相続・遺産分割 公開日:2022年02月18日(金)

相続放棄

 

 

墨田区の弁護士 東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。

 

 相続放棄を行うメリットやデメリット、相続放棄をするまでの方法、相続してから3か月間が経過した後に相続放棄が認められる場合等について以下で解説します。

 

 

相続放棄とは

 

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことをいいます。

相続は、プラスの財産のみならず、借金といったマイナスの財産も引き継ぐことになります。

相続放棄をすると、被相続人の一切の財産を放棄することになります。

 

民法第915条1項

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

 

後述するとおり、相続放棄には期間制限があります。期間内に行うことが重要です。

 

また、相続放棄をするまでに単純承認がされていないことも必要となります。

 

単純承認とは、

①相続放棄前に遺産の全部または一部を処分すること

②期間内に相続放棄の手続をしなかったこと

③相続放棄をした後でも相続財産を隠匿したり私的に費消すること

によって成立してしまいます(民法921条)。

 そうならないよう注意が必要です。

 

 

相続放棄をするメリット

相続放棄のメリット

 

①被相続人が残した借金を背負わないで済む

相続人ではありませんので、プラスの財産はもちろんのこと被相続人の借金も引き継ぎません。

債権者から督促を受けても、支払う必要はありません。

 

②相続争いに巻き込まれないで済む

相続人ではありませんので、相続人間での遺産を巡る紛争に巻き込まれることはありません。

 

③相続人のうちの1人に財産を集約させることができる

相続人が複数いる場合に、一人の相続人に財産を集約させるためには、遺産分割協議を行い協議書を作成する必要があります。

しかし、相続放棄をすれば、そのような手間を省くことが可能となります。

 

相続放棄をすることのデメリット

相続放棄の注意点

①プラスの財産について何ももらえなくなる

 相続を放棄すると、当初から相続人ではなかったことになりますので、マイナスの財産(借金)のみならず、プラスの財産を取得することも出来ません。

借金よりプラスの財産の方が多いようなケースでは、相続財産から返済したとしても、財産が残る計算となりますが、相続放棄すればそれは出来ません。

 

②後からやっぱり放棄しない、ということができない

いったん相続放棄をすると、それを後に取り消すことは出来ません。

例えば、借金があるから相続放棄をしたのだけど、後に借金を大きく上回るプラスの財産があることが判明したとしても、プラスの財産を引き継ぐことは出来ません。

ですから、相続放棄すべきか否かはしっかりと調査、検討してから行った方がいいです。

 

③他の相続人に借金が引き継がれる

相続放棄をすることで、相続順位が同順位の相続人がいれば放棄した分の借金がその者に引き継がれます。

同順位の相続人がいない場合、後順位の法定相続人に引き継がれることなります。

結局、相続人の全員が放棄しない限り、相続人の誰かに借金が引き継がれることになるのです。

 

相続放棄の流れ

  相続放棄の流れ

 

 相続放棄をした方がいいか調査・検討

          ↓   

 必要書類の収集

          ↓  

 相続放棄申述書の作成

          ↓ 相続開始から3か月以内に

 管轄の家庭裁判所に相続放棄申述書の提出

          ↓  

 相続放棄申述受理通知書が届く

 

 

相続放棄の方法

相続放棄に関するルール

 

⑴相続を知ってから3か月以内に行う

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内」(民法第915条1項)に行う必要があります。

ただし、特別な事情があれば、3か月を過ぎた後であっても相続放棄の申述を受理してもらえることがあります。

 

あくまでも「自己のために相続の開始」を知った時ですので、子が相続放棄をした結果、兄弟姉妹が相続人となった場合は、子が相続放棄をしたことを知った時から3か月間ということになります。

 

また、未成年者の場合は、相続放棄を自分ですることが出来ず、法定代理人が行うことになりますので、法定代理人が当該未成年者のために相続の開始があったことを知ってから3か月ということになります(民法917条)。

 

⑵単純承認にあたる処分をしてはならない

単純承認に該当する処分行為があると、相続放棄が出来なくなります。相続財産の一部または全部について、売却したり、譲渡したり、費消してしまうと単純承認に該当してしまいます。

単純承認にあたる「処分」か否かは、承認したといえるほどの処分かどうかで判断します。

以下が、単純承認にあたる場合と当たらない場合の具体例です。

 

具体例

【単純承認とはならない】

①相続人が被相続人の所有していたパソコン、ブラウン管テレビなどを無償で譲渡した行為は単なる形見分けであって、単純承認に該当する「処分」ではない(東京地裁平成21年9月30日判決)。形見分けと判断されるかどうかは、財産価値があるのかないのかがポイントです。

②死亡保険金を請求・受領して、被相続人の相続債務を一部弁済した行為は、単純承認に当たらない。死亡保険金は、相続財産ではなく固有の財産であるから。

③相続債務があることを知らないまま、相続財産である預貯金全部と不足分を一部相続人が自己負担する形で仏壇、墓石を購入した行為は単純承認にあたらない(大阪高裁平成14年7月3日決定)。

 

【単純承認にあたる】

①相続財産にあたる建物を取り壊し、滅失登記をした行為は、単純承認に該当する(東京地裁平成21年8月26日判決)


②相続財産である株式に基づき、取締役選任のために株主として議決権を行使した行為は、単純承認に該当する(東京地裁平成10年4月24日判決)


③入院給付金、通院給付金、傷害医療費用保険金といった生前に被相続人が受領出来た保険金を受領する行為は、単純承認にあたる。

 

⑶特別代理人の選任が必要な場合がある

相続人が未成年者の場合、法定代理人によって相続放棄がなされるのが通常ですが、法定代理人との利害が対立するような場合は、

法定代理人が相続放棄をすることが出来ず、特別代理人を選任する必要があります。

 

利害が対立する場合というのは、法定代理人と未成年者がともに相続人であって、未成年者だけ相続放棄をするという場合です。法定代理人が相続財産の取り分を多くするために未成年者の相続を放棄するというの防ぐために特別代理人の選任が必要とされています。

 

 

⑷管轄裁判所に相続放棄の申述をする

必要書類をそろえたうえで、管轄裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります。

管轄裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

裁判所はあくまで相続放棄の申述がなされたことを証明する役割を果たしているだけであって、その相続放棄が有効か無効かを判断するわけではありません。

 

熟慮期間の延長と3か月過ぎた後の相続放棄

相続放棄の期限

 

 ⑴ 熟慮期間の延長

前述のとおり、相続放棄は相続があったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。

しかし、遺産が複雑であったり、ちょうどその時海外に行っていて相続放棄すべきかどうか調査できないということもありえます。

そのような場合、熟慮期間伸長の申立てを家庭裁判所に対し行うことで、期間の延長が認められる可能性があります(民法915条1項後段)。3か月程度の延長であれば比較的緩やかに認められている傾向にあります。

 

注意点としては、この期間伸長の申立ても相続があったことを知ってから3か月以内に行う必要があるということです。

 

⑵ 3か月経過後の相続放棄

相続があったことを知ってから3か月以内に相続放棄をしなければならないというのが原則です。しかし、この3か月を経過したら、絶対に相続放棄がみとめられないのかというと、そうではありません。

相続財産が全くないと誤信したことに相当の理由があるなど特別な事情がある場合には、相続人が相続財産の全部又は一部を認識したときから3か月以内は、相続放棄が認められます。

 

【具体例】

①遺産が全くないという認識で相続放棄をせずに3か月が経過した後、被相続人の債権者から督促状が届き、多額の借金があったことが判明した。

 

②相続財産の存在自体は認識していたが、全財産を特定の相続人に相続させる旨の遺言があり、自分は何も相続しないと誤信して相続放棄をせずに3か月が経過した。

 

③相続財産として不動産があることを認識していたが、生前から相続人間で特定の相続人がこの不動産を取得する旨の合意があったため、当該不動産が相続の対象となる遺産であるとの認識がなく、相続放棄をせずに3か月が経過した。

相続放棄の手続で必要となる書類

相続放棄に必要な書類

 

①相続放棄申述書

②被相続人の住民票の除票(管轄の確認のため)

③相続放棄の申述人の戸籍謄本

④相続放棄の申述をする者が相続人であることがわかる書類

被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本

後順位の相続人の場合は、更なる書類が必要となります。

⑤収入印紙

⑥郵便切手

まとめ

錦糸町の弁護士へ相談

 

相続放棄をすれば相続のわずらわしさから解放されるというメリットはありますが、その一方でプラスの財産を一切承継することができず、後から相続放棄を取り消すことも出来ません。

 

そのため、相続放棄をすべきか否かは慎重に判断しなければなりません。

 

ただし、相続を知ってから3か月以内に行う必要があるため、時間的な余裕はありません。

 

突然の事態で困惑される方が多いです。

 

当事務所では、相続に関する案件を多数扱っております。

遺産相続でお悩みの方は、当事務所にご相談ください。

初回相談料は無料です。

 

リモートによる相談も可能で、遠方にお住まいの方からの依頼も承っております。

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相続・遺産分割

 

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