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特定財産承継遺言とは?その他の財産も相続できる?|最高裁判例でわかる「相続させる」遺言の効力

カテゴリ: 相続・遺産分割 公開日:2025年08月24日(日)

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墨田区の弁護士 東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。

 

 

 

「遺言で“長男に自宅を相続させる”と書いてある場合、長男は自宅以外の財産も相続できるの?」

このようなご相談は、相続の現場で非常によくあります。

 

一見すると「自宅だけ」と限定しているように思えますが、実は遺言の書き方によって結果が大きく変わるのです。

今回は、この点について判断を示した最高裁平成3年4月19日判決を中心に、特定財産承継遺言の効果を解説します。

 

1.特定財産承継遺言とは

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「特定財産承継遺言」とは、遺言者が特定の財産を指定して、特定の相続人(または第三者)に承継させる内容の遺言をいいます。

 

たとえば次のようなものです。

 

「長男Aに自宅土地建物を相続させる」

「次男Bに○○銀行の預金を相続させる」

 

このような遺言があるとき、指定された相続人はその財産を単独で相続できます。

ただし、その相続人が他の財産も相続できるかどうかは、遺言の書き方と遺言者の意思によって異なります。

 

2.争点:「その他の財産をもらえるのか?」

 

争いになりやすいのは、遺言に「自宅を長男に相続させる」とだけ書かれていて、他の財産(預金・有価証券など)については何も触れられていないケースです。

 

このような場合、

 

長男は自宅だけを相続するのか

 

それとも、自宅以外の財産にも法定相続分があるのか

 

――この点を判断したのが、次の最高裁判決です。

 

3.最高裁平成3年4月19日判決(民集45巻4号477頁)

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【事案の概要】

 被相続人の遺言には、

 「長男に自宅土地建物を相続させる」

 とだけ記載されていました。

他の財産については何も書かれておらず、長男と他の相続人がその分配をめぐって争いました。

 

【最高裁判所の判断】

最高裁は次のように判示しました。

 「遺言で特定の財産を相続させるとされても、相続分を制限する意思が明確でない限り、他の遺産についても法定相続分を有する。」

 つまり、遺言に「この財産のみを相続させる」などの排除の意思が明確に書かれていない限り、

その相続人は他の遺産の分割にも関与できる、という考え方です。

 

【判決のポイントまとめ】

判断内容 特定財産を「相続させる」遺言があっても、排除の意思が明確でなければ、他の遺産にも相続権を有する

実務上の意義 「相続させる」と書いた遺言は、単なる贈与的遺贈とは異なり、相続分を前提とした扱いになる

4.「相続させる」と「遺贈する」の違いに注意

 

似ているようで実は大きく違うのが、「相続させる」と「遺贈する」という表現です。

 

表現 対象 法的効果

「相続させる」 相続人 相続人の地位を前提に、直接承継される(他の遺産にも関与できる場合あり)

「遺贈する」 相続人以外も可 相続分を前提とせず、遺贈された財産のみ取得する

 

遺言者の意思が「自宅だけを与える」のであれば「遺贈する」と明記すべきです。

一方、「長男に相続人として自宅を中心に相続させたい」なら、「相続させる」と記すのが適切です。

 

5.実務での注意点(遺言書作成時)

 

遺言書を作成する際は、「他の財産をどう扱うか」を明確に記しておくことが大切です。

 

 他の財産も相続させたい場合

 

「長男に自宅土地建物を相続させる。その他の財産については法定相続分による。」

 

 自宅だけを与えたい場合

 

「長男に自宅土地建物を遺贈する。その他の財産については他の相続人に相続させる。」

 

曖昧な書き方をすると、相続人同士で解釈が分かれ、結局は争いの原因となってしまいます。

 

6.まとめ

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・特定財産承継遺言 特定の財産を特定の相続人に承継させる遺言

・「相続させる」と書かれている場合 排除の意思がなければ他の財産にも相続権あり(最高裁平成3年4月19日)

・「遺贈する」と書かれている場合 遺贈された財産のみ取得。他の財産はもらえない

・実務上のポイント 遺言者の意思を明確に文面で示すことが重要

 

 

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遺言の一文の違いが、相続人の権利や分割方法に大きな影響を与えます。

「相続させる」と「遺贈する」の違いは、法的にも実務的にも非常に重要です。

遺言の内容をどう書くかで、相続人同士の関係や手続きの負担も大きく変わります。

 

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