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錦糸町の弁護士へ法律相談 | 鈴木淳也総合法律事務所 - 【相続分の譲渡のメリット】取戻権行使の方法と相続放棄との違い

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【相続分の譲渡のメリット】取戻権行使の方法と相続放棄との違い

カテゴリ: 相続・遺産分割 公開日:2022年02月01日(火)

相続分の譲渡

 

 

墨田区の弁護士 東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。

 

 

相続放棄という言葉は知っている方が多いとおもいます。しかし、相続分の譲渡という言葉を聞いたことはありますか。

相続分を譲渡することで諸々のメリットを受けられることになります。相続放棄の違いも含めて解説していきます。

 

 

相続分の譲渡とは

相続分の譲渡

 

相続人は、相続開始から遺産分割終了までの間、相続分を他の共同相続人又は第三者に譲渡することができます。

これを相続分の譲渡といいます。

 

民法905条 

1 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

 

民法905条1項によれば、相続分を取り戻せるということが記載されており、譲渡できることが前提ですので、相続分の譲渡が出来ると考えられています。

 

相続分の譲渡は口頭で行うことが可能です。しかし、後日の紛争を防ぐために、相続分譲渡証明書という書面を作成しておくべきです。

 

また、譲渡した場合、他の相続人が譲渡の事実を把握する必要がありますので、相続分譲渡通知書を他の共同相続人に送付しましょう。

 

 

相続分の譲渡には以下のようなメリットがあります。 

【相続分譲渡のメリット】

・遺産を相続しないで済む(ただし、後述するとおり、負債は相続することになります)

・遺産分割の紛争に巻き込まれないで済む

・相続人が多数いる場合に他の共同相続人に譲渡することで、遺産分割協議の当事者を減らすことができる。

・有償で相続分を譲渡することで、遺産分割成立前に現金を手にすることが出来る。

 

 

【相続分譲渡の具体例】

Aが亡くなり、相続人は、B、C、Dの3名で相続分はそれぞれ3分の1ずつ。CとDは仲が悪く、遺産分割に関して揉めている状況。Bはそれに嫌気をさし、第三者であるEに対し、自己の相続分を100万円で譲渡した。

 

この場合、Bとは相続分譲渡証明書を作成したうえ、相続分譲渡通知書をCとDに送り通知します。

そして、今後は、EがCとDとの遺産分割協議に参加して遺産を分けていくこととなります。

Bは遺産分割協議の煩わしさから解放され、現金100万円を手にすることが出来ました。

相続分を譲渡するとどうなるのか

 相続分の譲渡によってどういう効果が生じるのか解説します。

 

⑴譲渡先が共同相続人である場合

譲渡先が他の共同相続人である場合は、譲り受けた分、相続分の割合が増加するだけです。

元々遺産分割の当事者でありまのすので、割合が増える以外、変化はありません。

 

⑵譲渡先が相続人以外の第三者である場合

一方で、譲渡先が相続人ではない第三者の場合、譲り受けた第三者は、相続人と同じ立場になります。つまり、他の共同相続人と一緒に遺産を共有することとなります。

 

そのため、遺産分割の協議に参加する権利を有し、この者を除いて行った遺産分割は無効となります。裁判所で行われる遺産分割調停や審判でも当事者としての資格が認められます。

 

相続分の取戻権

相続分の取戻権

⑴取戻権とは

共同相続人以外の第三者に相続分が譲渡された場合、民法905条1項の条文に記載されているとおり、共同相続人は譲渡された相続分を取り戻すことが出来ます。これを取戻権といいます。

 

相続分の取戻権が認められている理由は、譲渡を受けた第三者が遺産の管理や遺産分割に参加してくることで、余計な紛争が生じてしまう可能性があるからです。

考えてみれば、相続人である親族の話合いの中に、全く見ず知らずの人物が割って入ってきたら、もめる可能性がありますよね。

 

 

取り戻す際には、譲受人の承諾は必要ありません。

 

⑵取り戻す方法

相続分を取り戻すには、相続分の価格及び費用を譲受人に対し支払わなければなりません。

価格及び費用というのは、取戻権行使時の相続分の時価相当額のことであって、譲り受けるにあたって取り決めた対価の金額ではありません。したがって、

無償で譲り受ける合意をしていた場合であっても、時価相当額の提供が必要となります。

 

⑶取戻権の行使期限

条文上は民法905条第2項で、1か月以内に行使しなければならないとなっています。

いつの時点から1か月以内なのかという点については、相続分の譲渡の時からという説、相続分を譲渡したという通知を受けた時からという説に分かれていますが、譲渡の時からと考えるの通説です。

相続分の譲渡と相続放棄の違い

相続放棄との違い

 

相続分の譲渡がどういうものか知ると、相続放棄と似ているのではないかと思われると思います。

そこで、相続分の譲渡と相続放棄の違いを解説します。

⑴期間制限の有無

相続分の譲渡は、遺産分割まで行うことが可能です。

相続放棄は、自分が相続人となったことを知ってから3カ月以内です。

 

⑵裁判所の手続が必要か

相続分の譲渡は、裁判所の手続を要せず、行うことが可能です。極端な話、口頭合意だけで譲渡が成立します。

相続放棄は、必ず家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。

 

⑶被相続人の負債から解放されるか

相続分の譲渡をしても、負債から解放されず、引き続き弁済義務を負います。

債権者を害することになるからです。

 

相続放棄をすると、当初から相続人ではなかったこととなりますので、負債も相続していないこととなり、弁済義務から解放されます。

これは、大きな違いであるといえます。

 

⑷一部のみ譲渡・放棄の可否  

相続分の譲渡は、一部だけでも譲渡が可能です。例えば、元々の相続分が3分の1だとして、その半分である相続分6分の1だけを譲渡し、自分自身も6分の1の相続分を主張することが出来ます。

 

相続放棄をすると、前述のとおり、当初から相続人ではなかったこととなるので、一部だけ放棄するということはできません。相続放棄をすると、一切の相続分が無くなります。

 

⑸後順位の相続人に影響するか

相続分の譲渡をしても、後順位相続人への影響はありません。

相続放棄の場合は、相続人ではなくなることから、同一順位の相続人が他にいない場合は、後順位の相続人が相続することとなります。

 

まとめ

・相続分の譲渡は遺産分割までの間、行うことが出来る
・相続分は、その一部だけでも譲渡することが出来る

・相続分を譲渡する場合は、後日の紛争防止のため書面を作成し、他の相続人に速やかに通知した方がいい

・相続分を譲渡しても、被相続人の負債を免れるわけではない

・第三者に譲渡された相続分を共同相続人は取り戻すことができる

 

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