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錦糸町の弁護士へ法律相談 | 鈴木淳也総合法律事務所 - 【アパート等の賃貸不動産】相続後に発生する賃料は誰のものか?

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【アパート等の賃貸不動産】相続後に発生する賃料は誰のものか?

カテゴリ: 相続・遺産分割 公開日:2022年04月07日(木)

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墨田区の弁護士 東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。

 

相続財産のなかで賃貸不動産がある場合は、自宅の場合と異なり、賃料をだれが貰うのかという問題があります。

そして、遺言書で承継する人物が決められている場合はいいですが、遺言書がなく、遺産分割が出来ていない場合の処理も問題となります。

そこで、以下で、賃貸不動産が相続財産にある場合の所有関係や賃料の処理について解説します。

 

 

遺産分割前の賃貸不動産の所有者は誰か

賃貸不動産

⑴共同相続

被相続人が亡くなり、相続が発生したけど遺言書が無いという場合、被相続人が所有していた不動産の所有権はどうなるか。

この点については、相続人が複数いる場合、相続人全員が共有することになります。共有というのは、1つの物に関して複数人が所有権を有している状態のことです。

 

(共同相続の効力)

民法898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

 

 

具体例

夫が亡くなり、法定相続人が妻と長男、長女の3名である。遺言書は存在しなかった。

この場合、不動産については法定相続分に基づき共有となり、妻は持分2分の1、長男・長女は持分4分の1ずつということになります。

 

この共有状態は、遺産分割をして所有者に変更が生じるまで続きます。

 

⑵遺産分割の効力

遺産分割を行うと、その効力は、相続開始時に遡って効力を生じることになります。

 

(遺産の分割の効力)

民法909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

 

具体例

夫が亡くなり、法定相続人が妻と長男、長女の3名である。遺言書は存在しなかった。

3か月後に遺産分割協議がまとまり、不動産については妻が取得することとなった。

 

この場合、妻は、遺産分割協議がまとまった時期からではなく、相続開始時から取得した不動産の所有権を取得することとなります。

 

相続開始後に発生した賃料債権は遺産ではない

遺産とは、被相続人の死亡時に存在している財産のことをいいます。

死亡時に存在しない財産は遺産ではありません。したがって、相続の対象とはなりません。

 

賃料に関して言えば、被相続人が死亡した後に発生する賃料については、死亡時に存在している債権(財産)ではありませんので、遺産ではないことになります。

 

ですから、相続開始から遺産分割が成立するまでの間に発生した賃料は、原則として遺産分割の対象とはならず、相続人全員の合意があって初めて可能となります(東京高等裁判所昭和63年1月14日決定)。

 

 

遺産分割前の賃料債権は誰のものか

遺産分割前の賃料

 

では、賃料債権はだれのものか?

 

この点については、賃貸している不動産に関して遺産分割前であれば、前述のとおり相続人全員で共有していることになります。

したがって、賃料債権は、各相続人が各相続分に応じて有していることになります。

 

具体例

夫が亡くなり、法定相続人が妻と長男、長女の3名である。遺言書は存在しなかった。

夫は、不動産を所有しており、毎月20万円の賃料を得ていた。遺産分割はまだ行っていない。

 

この場合、遺産分割前ですので、賃貸不動産について各相続人が共有していることになります。

賃料債権は、各相続人の相続分に応じて有していることになりますので、妻は2分の1である10万円、長男・長女は4分の1ずつで各5万円を取得できることになります。

 

遺産分割後の賃料債権は誰のもの?

遺産分割後の賃料

 

先ほどの例は、賃貸不動産の遺産分割前の話でした。

遺産分割によって、相続人の一人が賃貸不動産を取得した場合どうなるのか。

 

具体例

夫が亡くなり、法定相続人が妻と長男、長女の3名である。遺言書は存在しなかった。

夫は、不動産を所有しており、毎月20万円の賃料を得ていた。そこで、妻が10万円、長男、長女が5万円ずつ支払われた賃料を分けていた。6か月後に遺産分割協議がまとまり、夫が賃貸していた不動産については妻が取得することとなった。

 

この点、遺産分割後に発生する賃料については、遺産分割によって取得する妻が全額得られるというのは明らかであると思います。

一方で、前述しましたとおり、遺産分割の効力は相続時に遡るという規定(民法909条)があります。

長男、長女は、遺産分割前に得ていた賃料を妻に返還すべきでしょうか。

 

この点については、最高裁判所まで争われ確定的見解があります。

(最高裁平成17年9月8日判決)

遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。

 

したがって、今回の例によれば、長男、長女は、遺産分割前に賃料の持分として得た30万円について、返還する必要はありません。

まとめ

・遺産分割前の賃貸不動産は、各相続人の相続分に応じて共有となる

・相続時より後に発生する賃料は、遺産ではない。

・遺産分割の効力は相続時に遡って生じる

・賃貸不動産の賃料は、遺産分割が行われるまでの間、各相続人が相続分に応じて確定的に取得し、

その後遺産分割が行われても遡って失うことはない

 

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