持続化給付金の不正受給は詐欺!自首のメリット方法、不起訴の可能性
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東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。 |
持続化給付金の詐欺で逮捕された報道を目にして不安になった方から相談・依頼を受けることが多くあります。
軽はずみでやってしまったことで、後悔されている方は多くいらっしゃると思います。
持続化給付金の不正受給は重大な犯罪です。
逮捕・家宅捜索をされなたくない、少しでも刑を軽くしたい、できれば前科を付けたくないという方は、自首して被害金を弁償するのが一番です。
自首の仕方が分からない、一人で警察に行くのが不安で仕方ない、という方は当事務所にご相談・ご依頼ください。
以下で、持続化給付金の不正受給をした場合の量刑や自首をするメリット、自首の方法について解説します。
目次
持続化給付金の不正受給は詐欺罪
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために営業自粛などで売上が減少した事業者向けに国は持続化給付金という支援制度を作りました。
困っている事業者を支援するものです。
持続化給付金は緊急性が高いものであることから、給付金の申請に関してチェック体制などが緩い部分もあったのでしょうが、そこを逆手にとって持続化給付金の不正受給申請をした人達が逮捕され始めているという報道がされています。
持続化給付金の不正受給は、詐欺罪(刑法246条1項)となります。
虚偽の申請をしただけで、詐欺の着手がありますので、給付金の受給に至らなくても詐欺の未遂として処罰されることになります。
詐欺罪とは、人をだまして誤解させ、その誤解を利用して、財産を交付させたり、支払いを免れたときに成立する罪のことです。
持続化給付金の不正受給に当てはめると、本来持続化給付金を受給する条件を満たさないのに満たすかのように騙して誤解させ、その誤解を利用して、持続化給付金を振込の方法で交付させた、ということになります。
詐欺罪に関する詳細は、こちら
詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役であり、罰金刑はありませんので重たい犯罪となります。
持続化給付金の詐欺には仲介役、指南役の存在があります。
詐欺にならないと甘い言葉で説明を受けて、ついつい手を出してしまったという方が多いのですが、自ら作成したのではなくても虚偽内容の確定申告までしているわけですから、詐欺の故意は否定しえません。
仲介役、指南役と持続化給付金の申請名義人との詐欺罪の共同正犯(刑法60条)ということになります。
持続化給付金の申請自体はインターネットで指南役が行ったとしても、申請に必要な虚偽の確定申告をしたり、口座を提供して金銭を受領しているので、詐欺罪の全責任を負うことになります。
持続化給付金詐欺の量刑例
判例検索によれば、持続化給付金を不正受給し、詐欺罪で起訴された事案での量刑は以下のようになっています。
1 那覇地方裁判所 令和3年2月24日判決
事案
コンサルタントを称する者に本件不正申請を勧められ,申請資格がないことを知りつつも,税理士が関わるから発覚することはないだろうという安易かつ身勝手な考えで本件犯行に及んだ。
①給付金の額 100万円
②被害弁償 全額返還
③自首 なし※(犯罪発覚後の申告のため自首とならず)
④前科前歴 なし
判決
懲役1年6月 執行猶予3年
2 神戸地方裁判所令和2年12月7日判決
事案
Bから申請人となるよう誘いを受け,銀行口座の資料等を同人に提供してAへの申請代行を依頼して受給した給付金の一部を自身の取り分とした
①給付金の額 100万円
②被害弁償 なし
③自首 なし
④前科前歴 なし
判決
懲役1年6月 執行猶予4年
いずれの事案も不正受給の話を持ち掛けられて、申請を行ったものです。起訴されても、執行猶予が付く可能性が高いことが分かります。
1番目の事件では、被害金を全額弁償していますが起訴されています。どのタイミングで被害弁償をしたのかは明らかではありません。
ただ、不起訴を狙うのであれば、少なくとも、起訴される前に被害弁償する必要があるのは間違いありません。
両者の事案とも自首は成立していません。自首が成立し、起訴前に被害弁償をしていれば、不起訴となる可能性もあるでしょう。
持続化給付金の不正受給(詐欺)で自首するメリット
⑴ 逮捕される可能性を下げる
首謀者や指南役が持続化給付金の不正受給による詐欺で逮捕されていますが、それに関わった個人の申請者も捜査上で次々と発覚していくことになります。
持続化給付金の申請の際に添付送信した虚偽内容の確定申告書や売上台帳、本人の身分証や口座情報のデータは捜査機関側の手に渡りますので、時間の経過につれ詐欺罪で逮捕者は増えていくことが予想されます。
早い段階で自首をして、誰を通じてどのような経緯で持続化給付金の不正受給をするに至ったのか、首謀者に関することも含めて捜査機関に説明することが重要となります。
弁護士が同行して警察署に行き、弁護士が身元引受人になることで逃亡や証拠隠滅のおそれはないと判断され、逮捕されるリスクが減少します。
指南役ではなく、指示されるままに持続化給付金の不正受給を行ってしまった方の場合、自首をすればまず逮捕されることはありません。
⑵ 起訴される可能性を下げる
詐欺罪は、法定刑が10年以下の懲役となっており、罰金刑がありません。略式罰金という方法をとれませんので、起訴されるか不起訴となるかのどちらかです。
起訴されてしまいますと、犯罪事実に間違いないのであれば有罪となり、執行猶予が付くとしても前科となってしまいます。
自首して自ら不利益なことを自供し捜査に協力した者とそうでない者との間には、処分に関して一定の差が設けられるということが考えられます。
被害金である受領した給付金相当額を自首返金すれば、被害も回復しているとして不起訴になる可能性は高くなります。
⑶ 報道されるリスクを下げる
逮捕、起訴されてしまうと、マスコミに実名報道される可能性が出てきます。逮捕案件の全てで報道されるわけではありませんが、リスクがあることに変わりありません。
特に持続化給付金の詐欺、不正受給は、世間の耳目を集めるニュースですので、連日のように逮捕されたことが報道されています。
実名報道されてしまいますと、日常生活に支障をきたすことになります。
⑷ 家宅捜索を回避する
自首の際に犯罪に関連する資料を持参することになります。すなわち、証拠を提出することになります。
そうすることで、警察官が自宅に来て、家宅捜索されるリスクを下げることが出来ます。
特に持続加給金の不正受給で指南役ではない場合は、自首をすることでほぼ家宅捜索はされずに済みます。
⑸ 心理的負担からの解放
当事務所に来られる方は、誰にも言えずに一人で抱え込んでいた、という方が多くいらっしゃいます。
勤務している会社に知られないか、通っている大学に通報されないか、今の生活が続けられなくなってしまうのではないか、持続化給付金の不正受給で摘発された報道を目にするたびに不安になられる方が多いですが、自首をすればそのような不安から一部解放されます。
早めに自首をすべき理由
自首というのは、罪を犯した者が、自らその犯罪内容を捜査機関に申告することです。
逮捕される前に申告すれば自首になると誤解されている方がいますが、間違いです。
自首の恩恵を受けるためには、罪を犯した者が、その犯罪や犯人に関し捜査機関に発覚する前に申告する必要があるのです。
警察がまだ自宅に来てない、連絡が来てないという状況であっても、警察は貴方が持続化給付金の不正受給を行ったことを把握している可能性はあります。
そうなると、法律上の自首は成立しません。
特に、持続化給付金の詐欺は、組織的に行われるのが特徴です。 指南役や首謀者が摘発されれば、摘発された指南役等を通じて持続化給付金の申請を行った者も遅かれ早かれ捜査機関に把握されてしまう可能性が高いのです。
したがって、自首を考えている方は、速やかに行うことをお勧めします。
自首に関する記事はこちら
どの警察署に自首をするか
自首をしに警察署にいくとして、どの警察署にいくべきか。
犯罪捜査規範では、管轄に関係なく、自首しようとする者がいるときは受理しなければならないことになっています。
しかし、実際のところ、全く関係のない警察署は対応を嫌がります。
ですから、基本的には、ご自宅の最寄の警察署となるのが一般的です。
当事務所にご依頼いただければ、ご自宅最寄りの警察署に連絡をして警察署にいく日時を調整します。この段階では、氏名は秘匿します。
自首の際に必要となる資料
身分を確認するもの、犯行(持続化給付金の不正受給)に関する証拠資料を持参していくことになります。
①身分証
②確定申告書
③売上台帳
④預金口座の通帳や履歴
⑤持続化給付金の振り込みを知らせるハガキ
といった資料が代表的です。
LINEやメールで指南役から行動の指示を受けていたのであれば、スマートフォンも必要です。
以上のものは、証拠となるものです。怖いからといって、くれぐれも破棄しないようになさってください。
忘れてはならない持続化給付金の自主返還
受領した持続化給付金は、被害金ということになります。
指南役に受領した金額の一部を渡していたとしても、全額を返還する義務を負います。
持続化給付金を自主返還して被害の回復をしたか否かは、詐欺罪の処分を決めるうえで非常に重要な点となります。
持続化給付金を返還する際は、持続化給付金事業コールセンターに連絡をする必要があります。
連絡先は、こちらです。
連絡すると、後日、ご自宅に振込先が記載されたハガキが届きます。
支払期限も記載されていますので、それまでに受領した持続化給付金を返還してください。
確定申告書の修正申告
持続化給付金を受給するために、事業売上がないにもかかわらず架空の事業売上を確定申告書に記載しているわけですので、修正が必要となります。
特に、事業経費を多く記載し、事業所得をマイナスとして記載している場合、本来は還付されないはずの所得税の一部について還付を受けていることになります。
自首をし、持続化給付金の還付を終えた後、税務署に連絡して事情を説明のうえ、修正申告し、受領した所得税の還付金も返還しましょう。
まとめ
・持続化給付金の不正受給は誘われて申請しただけでも詐欺罪が成立する
・前科がなければ、起訴されても執行猶予が付く可能性がある
・自首は捜査機関に発覚する前に行なう必要がある
・自首をすると逮捕される可能性が低い
・自首が成立し被害金を弁償すれば不起訴となる可能性が高まる
・自首はお住まい地域の最寄の警察署に行なう
・不正受給に関する資料は処分せず全て残しておくこと
持続化給付金を不正受給(詐欺)した方は当事務所へご相談を
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検察官による起訴・不起訴
⑴ まずは無料相談
持続化給付金の不正受給を行ってしまい不安になられている方、自首について検討されている方は、当事務所にご相談ください。初回相談料は無料です。
⑵ ご依頼後
ご依頼いたきましたら、必要な資料をご提出いただいたうえで、弁護士が上申書を作成します。自首をする警察署に弁護士が連絡をして、アポイントメントをとります。
自首をする当日は、弁護士が警察署に同行いたします。一人で警察署に行くのは、不安という方が大多数かと思いますが、一緒に行きますのでご安心ください。
自首をした後は検察庁へ書類送検されることになりますが、当事務所にご依頼いただければ、自首の同行やその後、検事が不起訴処分を下すような刑事弁護活動を行っていきます。
電話による相談も可能で、遠方にお住まいの方からの依頼も承っております。
ご相談は事前予約制です。問い合わせフォームからお問い合わせいただき、面談の予約をお取りください。
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