器物損壊で逮捕される?|告訴・示談・不起訴・刑罰まで弁護士が解説

器物損壊で逮捕される?|告訴・示談・不起訴・刑罰を弁護士が解説
「車を蹴ってしまった」「店の備品を壊した」「腹が立って物を投げて割ってしまった」――。
器物損壊は、行為の直後よりも数日~数週間後に警察や検察から連絡が来ることが少なくありません。防犯カメラや目撃情報、被害者の通報をきっかけに、忘れた頃に事件化する典型があります。
器物損壊事件で最も多い不安は、次の4つです。
①逮捕されるのか ②前科がつくのか ③示談すれば終わるのか ④告訴(被害者の処罰意思)が鍵なのか。
本記事では、器物損壊罪の基本から、逮捕・在宅の分かれ目、告訴・示談の進め方、不起訴に向けた実務までを弁護士がわかりやすく整理します。
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この記事の目次
目次
- 1.器物損壊罪とは
- 2.成立要件:ポイントは「故意」と「損壊」
- 故意がない(過失)なら刑事は成立しない
- 「損壊」といえるか:傷・汚れ・落書きも要注意
- 3.器物損壊罪は親告罪:告訴と被害届の違い
- 4.逮捕される?在宅で進む?分かれ目は「逃走」と「証拠」
- 5.刑罰と「前科」の注意点:罰金でも前科になります
- 6.示談の意味:器物損壊は「示談=告訴の問題」を動かす
- 示談で整理すべき基本項目
- 7.解決例
- 解決例①:30代男性|自転車を倒して破損|示談成立・告訴取消で不起訴
- 解決例②:40代男性|飲酒後に店舗の備品を損壊|在宅捜査・早期示談で不起訴
- 鈴木 淳也弁護士からのコメント
- 8.警察・検察から連絡が来たときの注意点
- 9.弁護士ができること:示談・告訴対応、在宅化、処分の見通し整理
- 10.器物損壊でよくある質問(Q&A)
- 11.まとめ:器物損壊は「告訴」と「示談設計」で結果が変わります
- 12.器物損壊でお困りの方は当事務所へご相談ください
1.器物損壊罪とは
器物損壊罪(刑法261条)は、他人の物(財物)や動物を故意に損壊した場合に成立する犯罪です。
「壊した」というと完全に破壊した場面を想像しがちですが、実務では効用を害する(通常の使用ができない、価値が落ちる)程度でも問題になります。たとえば、車体に深い傷をつける、窓ガラスを割る、自転車の一部を壊して走行できなくする、店の備品を破損する、壁に落書きをするなどは典型例です。
器物損壊罪のポイント
- 対象は「他人の物」や「他人の動物」(自分の物は原則として対象外)
- 「損壊」は破壊だけでなく、汚損や機能低下も含まれる
- うっかり壊した過失では、器物損壊罪は成立しない(※ただし民事責任は別)
2.成立要件:ポイントは「故意」と「損壊」
器物損壊事件で争点になりやすいのは、(1)故意があったか、(2)損壊といえる程度か、の2点です。
特に「酒に酔って覚えていない」「勢いで蹴っただけ」「壊すつもりはなかった」というケースでは、故意の評価が問題になります。
故意がない(過失)なら刑事は成立しない
たとえば、転倒して偶然ぶつかって壊した、操作を誤って破損させたといった過失の場合、器物損壊罪は成立しません。
ただし、刑事は成立しなくても、修理費等の損害賠償(民事)を求められることはあります。
「損壊」といえるか:傷・汚れ・落書きも要注意
実務上は「元どおり使えない」「価値が落ちる」程度があるかが検討されます。
落書きや汚れでも、清掃・塗り直し等が必要で、通常の使用に支障が出るなら問題になり得ます。
典型的な場面
- 車・バイク・自転車を蹴る/倒す/部品を破損
- 窓ガラスや看板、店舗の備品を壊す
- 建物の壁・シャッター・塀への落書き
- 他人のスマホやPC等の精密機器を壊す(投げる、踏む等)
3.器物損壊罪は親告罪:告訴と被害届の違い
器物損壊罪の最大の特徴は親告罪である点です。一般に、親告罪は被害者の告訴がなければ起訴できないとされます。
ここで重要なのは、被害届と告訴は同じではないということです。
被害届と告訴(実務上の違い)
- 被害届:被害に遭った事実を警察に申告するもの(捜査のきっかけになり得る)
- 告訴:犯人を処罰してほしいという意思表示(親告罪では起訴の前提になり得る)
※被害届が出ていれば捜査は進むことがあります。一方で、告訴が出るかどうか、また告訴が取り下げられるかどうかが、処分見通しに強く影響します。
4.逮捕される?在宅で進む?分かれ目は「逃走」と「証拠」

器物損壊は、事件類型としては在宅で進むケースも多い一方、状況によっては逮捕されることもあります。
逮捕・勾留の判断で重視されるのは、一般に逃走のおそれと証拠隠滅のおそれです。器物損壊では、証拠(防犯カメラ、目撃者、損壊箇所、修理見積、LINEのやり取り等)が比較的固まりやすい一方、当事者の対応次第で「逃走」評価が上がることがあります。
逮捕されやすい事情(典型例)
- 現行犯で発覚し、その場から逃走した
- 身元が不明確・住居不定と評価されやすい
- 同種の被害が多数で常習性が疑われる
- 被害者や関係者に働きかけ、証拠隠滅・口裏合わせが疑われる
在宅で進みやすい事情(ただし事案次第)
- 身元・住所が明確で逃走のおそれが低い
- 被害が限定的で、証拠が整理されている
- 早期に弁護士へ相談し、謝罪・弁償・示談方針を整えられる
5.刑罰と「前科」の注意点:罰金でも前科になります
器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料とされています。
実務では、事案によって略式(罰金)で終わることもありますが、ここで誤解が多いのが「罰金なら前科がつかない」という誤解です。
有罪(罰金含む)になれば前科が残ります。会社や資格、再犯時の扱いなど、長期的な影響が出ることもあるため、最初に「前科回避(不起訴)」を現実的に狙えるかの見立てが重要です。
実務の分岐点
- 不起訴:前科がつかない(刑事処分を受けない)
- 略式罰金:前科がつく(書面審理で罰金納付)
- 正式裁判:争点がある・悪質などで公判になる可能性
6.示談の意味:器物損壊は「示談=告訴の問題」を動かす

器物損壊事件では、示談の重要性がとても高いです。理由はシンプルで、示談は単に「お金を払う」ことではなく、被害者の感情を整理し、告訴を取り下げてもらう/告訴しないという結論に近づける働きがあるからです。
裏を返すと、弁償だけしても、被害者の処罰感情が残り告訴が維持されれば、罰金等の前科が残る展開も現実にあります。
示談で整理すべき基本項目
- 修理費・原状回復費(見積・領収書で客観化)
- 迷惑料(被害状況・対応の経緯で変動)
- 接触方法(本人が直接連絡すると関係が悪化することがある)
- 示談書の条項(告訴の扱い、清算条項、連絡禁止等)
※示談はタイミングも重要です。警察・検察から連絡が来てから動き始めると時間が足りないことがあります。早期に「被害者が誰か」「被害額がいくらか」「告訴の有無」を整理し、筋の良い進め方を設計することが大切です。
7.解決例
解決例①:30代男性|自転車を倒して破損|示談成立・告訴取消で不起訴
依頼者は、自宅近くの駐輪場に停められていた他人の自転車を、腹立ちまぎれに倒し、部品の一部を破損させてしまった事案です。
当初はその場で発覚しませんでしたが、防犯カメラの映像などから依頼者が特定され、後日、警察から連絡を受けました。
被害者はすでに刑事告訴をしており、このまま示談が成立しなければ、罰金刑を含む前科が付く可能性が高い状況でした。
当事務所が受任後、捜査機関と連絡を取り、被害状況と修理費用を確認したうえで、被害者に対して弁護士名義で謝罪と示談の申入れを行いました。
結果として、修理費用に加えて一定の迷惑料を支払う内容で示談が成立し、告訴が取り下げられ、不起訴処分となりました。
解決例②:40代男性|飲酒後に店舗の備品を損壊|在宅捜査・早期示談で不起訴
依頼者は、飲食店で飲酒後、感情的になり、店内の備品を蹴って壊してしまった事案です。
警察が駆けつけ、その場で事情聴取を受けましたが、逮捕はされず、在宅事件として捜査が進められました。
被害店舗は被害届を提出していましたが、当初は告訴の可能性も示唆されていました。
そこで当事務所が早期に介入し、被害額の算定、謝罪方法の整理、示談条件の調整を行いました。
結果として、修理費用と迷惑料を含めた示談が成立し、被害者側は告訴を行わない意思を明確化。
その結果、検察により不起訴処分となり、前科が付く事態を回避できました。
鈴木 淳也弁護士からのコメント
器物損壊事件は現行犯とならないことが多く、忘れたころに警察や検察から連絡が来るというパターンが多々あります。
親告罪であるため、示談を通じて告訴を取り下げてもらえれば不起訴となることが多い一方、示談がまとまらない場合は前科がなくとも略式罰金などに処せられてしまうケースも見受けられます。
早い段階で弁護士に相談し、告訴の有無と示談の可能性を見立てることが重要です。
8.警察・検察から連絡が来たときの注意点
器物損壊では、警察から「任意で来てください」と連絡が来ることがあります。ここで大切なのは、無視して関係を悪化させない一方で、準備なく対応して不利な流れを作らないことです。
よくある落とし穴
- 説明が二転三転して「嘘をついた」と受け取られる
- 被害者に直接連絡して感情を悪化させ、告訴が強化される
- 「弁償するから大丈夫」と思い込み、示談書が整わないまま進む
供述調書は後から修正が難しいため、事実関係の整理、言い方、示談方針などを弁護士と確認したうえで対応することをおすすめします。
9.弁護士ができること:示談・告訴対応、在宅化、処分の見通し整理
器物損壊事件では、弁護士が早期に介入することで、事件の着地点(不起訴/罰金等)を現実的に変えられる場面があります。特に、親告罪である点から、示談の設計と告訴対応が重要です。
- 示談交渉:被害者の心理的負担を抑え、条件整理と示談書作成まで一体で対応
- 告訴対応:告訴の有無を確認し、告訴取消や告訴回避に向けた道筋を組み立て
- 在宅化・身柄対応:逃走・証拠評価を下げる材料を整え、勾留阻止や早期釈放を支援
- 取調べ対応:供述の整理、調書作成時の注意点を具体的に助言
10.器物損壊でよくある質問(Q&A)
11.まとめ:器物損壊は「告訴」と「示談設計」で結果が変わります
- 器物損壊は「故意」と「損壊」がポイント。過失なら刑事成立しない
- 親告罪のため、告訴の有無・告訴取消が処分見通しに強く影響する
- 罰金でも前科になる。前科回避には不起訴を現実的に狙う設計が重要
- 弁償だけで安心せず、示談書の内容(告訴の扱い)まで整えることが大切
- 警察・検察から連絡が来た段階で、早期に弁護士へ相談するのが安全
12.器物損壊でお困りの方は当事務所へご相談ください

器物損壊は、事件化が遅れて突然連絡が来ることがあり、対応を誤ると前科(罰金含む)が残るおそれがあります。
当事務所では、初回相談60分無料で、全国からのご相談に対応しています。全国から多数のご相談・ご依頼をいただいていおります
状況を整理したうえで、示談・告訴対応、不起訴に向けた方針、在宅化・身柄対応まで、現実的な選択肢をご案内します。
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