【不貞行為】配偶者の浮気はどこから慰謝料が発生するのか
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東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。 |
不倫の慰謝料で問題となるのですが、どのような行為から慰謝料が発生するのかについて、解説します。
1.慰謝料請求の根拠
浮気による慰謝料請求が認められるのは、浮気が民法上の不法行為(709条)にあたる場合です。
その場合には、浮気をされた側は、配偶者やその浮気相手に対して、慰謝料請求することが出来ます。
ただ、浮気といっても、どの段階なのか千差万別です。そこで、どの程度まで達すると、慰謝料が発生しうるものなのか解説いたします。
2.肉体関係
芸能人等の不倫に関して報道されることがあります。法律上、不倫という言葉はありません。法律上は、不貞行為と言われています。不貞行為は法律上の離婚原因となります。
不貞行為というのは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係をもつこと、とされています。
ですから、浮気が性行為・肉体関係にまで至っている場合には、慰謝料が発生することになります。
これについては多くの方がご存じのことでしょう。
3.二人だけで食事に行く
配偶者に内緒で異性と会って二人だけ頻繁に食事に行くという行為は不法行為にはなりません。たしかに、された方は気分が悪いですが、裁判においては不法行為ではないと判断されています。したがって、慰謝料請求は難しいでしょう。
ただし、配偶者がかつての不貞行為の相手と深夜に面会していたという事案で、裁判所は、「再び不貞関係を再開したのではないかとの疑いを抱かせるのに十分な行為」であって「婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある行為であると認められる」として、不法行為であると判断しましたものがあります(東京地判平成25年4月19日)。
4.手をつなぐ
手をつなぐ行為だけでは、不法行為になりません。
手をつなぐ行為はたしかに一定の親密さは認められますが、だからといってこれだけで婚姻関係を破綻に至らせる可能性が高い行為とは一般的にはいえないからです。手をつなぐ行為から直ちに肉体関係を推認することも出来ません。
ただし、その他の行為と相まって、婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある行為と判断される可能性はあります。
5.LINEのやりとり
単に異性とこっそりLINEで連絡をとっていたというだけでは不法行為にはなりません。
さらに進んで、そのやりとりが愛情表現等を含むものであった場合はどうでしょうか?
私のこれまで扱った案件では、LINEのやりとりの内容から性行為といった不貞行為が推認され、慰謝料が認められたケースが多々ありました。
一方で、LINEの内容がたとえ肉体関係を推認させるような文面ではなかったとしても、度重なる愛情表現を伴うLINEのやりとりがなされていた場合には、不法行為が成立し慰謝料請求が認めれる可能性があります。
過去の裁判例(東京地判平成24年11月28日)でも「このようなメールは,性交渉の存在自体を直接推認するものではないものの,被告がAに好意を抱いており,原告が知らないまま被告とAが会っていることを示唆するばかりか,被告とAが身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり,これを原告が読んだ場合,原告らの婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである。」として、慰謝料請求が認められたケースがあります。
6.まとめ
好意を抱いて、手をつないだり、食事に一緒に行く程度の浮気であれば慰謝料が発生する可能性は極めて低いといえます。
しかしながら、行動は徐々にエスカレートしていくことがあります。そうなると、不法行為の領域に達してしまうことになります。もとより、不法行為となるかどうかは別として、配偶者が嫌がるような行動は最初から慎むべきでしょう。
当事務所では、離婚・不倫等の男女問題について積極的に取り扱っています。
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