【詐欺的な情報商材】支払った代金を返還請求できるか
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東京都墨田区、錦糸町駅近くにある鈴木淳也総合法律事務所です。 |
近年被害が多い、詐欺的な情報商材に関するトラブルについて、返金方法について解説します。
目次
1.情報商材とは
情報商材というのは、SNSやインターネットを通じ、副業、バイナリーオプションなどの投資、ギャンブルで簡単に利益を生み出し高額な金銭を手に入れられること謳って販売されている情報のことです。
情報の形式は、PDFや動画などが主で、インターネット上で情報をダウンロードしたり、情報が入ったUSBメモリを受け取る形で手に入れることになります。高額なコンサルティングやビジネスセミナー、ソフトウエア等を契約させられるケースもあります。
世に出回る情報商材の全てでトラブルが生じているわけではありません。有益な情報が適切な方法で販売されている例も多数あります。
一方で、判断力が備わっていない特に若者を狙って、大した情報ではないのに特別な情報であるかのように装って販売している業者があるため問題となっているのです。
2.情報商材の詐欺的トラブルとなるケース
⑴誇大な広告、宣伝文句
誇大な広告、宣伝文句で消費者を勧誘し、それを信じ込ませて契約をさせるパターンが圧倒的に多いです。
少し考えれば、そんなことはないと気付ける人もいますが、お金に困っていたり、SNS等で優雅な生活に憧れてしまった方は、信じてしまうのです。
よくある詐欺的な広告、宣伝文句は以下のとおりです。
①「必ず儲かる」、「3日で倍の利益を生み出せる」、「1日たったの5分で稼げる」、「支払った契約金以上の金銭を必ず回収できる」等といった、断定的で誇大な文言を謳う
②SNSに高級車の写真を載せるなどして、あたかも当該情報のおかげで高額な金銭を手に入れることが出来て、優雅な生活を送れているかのような投稿をする
裁判でも違法であるという認定がなされております。
被告らは,原告が起業の知識・経験に乏しいこと,契約金を支払う資力がなく消費者金融から借入れをしなければ契約金の支払ができないことを認識しながら,共同して,原告に対し,本件契約を締結すれば確実に稼ぐことができる,支払った契約金以上の金員を必ず回収できるなどと述べて勧誘した。また,本件契約に基づき,被告会社が原告に対しどのような業務を行い又はサービスを提供するのか,それが契約金に見合ったものなのか,その回収ができないことのリスクについて全く説明しなかったことが認められる。しかも,被告Y1は,資力がないという原告に対し,消費者金融業者から借入れをして契約金の原資を作って支払うように促していた。
このようなことからすれば,本件契約を締結するよう勧誘した被告らの行為は,断定的判断の提供に当たり,説明義務に違反し,また,社会的相当性を欠くもので,違法であるというべきである(東京地裁平成30年2月19日判決)。
⑵強引な勧誘
最初は、1万円程度の少額な情報商材を販売し、後に次々に高額な契約を勧誘していくというパターンも多くあります。
最初の情報では情報が薄く、より詳細な情報を得るために連絡をしたところ、「高額な商材ほど、簡単に高額を確実に稼げる」などと言って勧誘し、気が付いたら高額な情報商材の契約をしていたというものです。
⑶返金に応じてくれない
契約前に儲からなかった際の返金保証があると聞かされていた場合でも、実際は返金に応じてくれないというのがほとんどです。
また、後述しますように、情報商材販売取引には、特定商取引法が適用されるケースが多くあります。その場合、情報商材販売取引の販売類型によっては、クーリングオフ制度を利用できるものがあります。クーリングオフというのは、一定期間内に無条件に契約を解除できる制度です。
しかしながら、購入者の法的無知に乗じて、本件はクーリングオフの適用対象外であるなどと虚偽事実を伝えて返金に応じない業者があります。これは、クーリングオフの妨害として刑事罰の適用があります。
3.返還請求の方法
⑴ クーリングオフ
クーリングオフの制度を使って契約を解除して、返金請求出来る場合があります。
クーリングオフの根拠となるのが、特定商取引法という法律です。
前述のとおり、情報商材販売取引は、特定商取引法の適用されるケースが多いです。
情報商材販売取引は、特定商取引法が定める、「電話勧誘販売」、「通信販売」、「業務提供誘引販売」、「連鎖販売取引」に該当することが多いです。
①「電話勧誘販売」というのは、簡単にいいますと電話で勧誘されて契約する場合です。購入者から架電した場合でも一定の条件を満たす場合は、電話勧誘販売に該当します。
②「通信販売」というのは、インターネット上での取引です。
③「業務提供誘引販売」とは、事業者によって提供又はあっせんされる業務に従事することで収入が得られると勧誘され、その業務に必要とされる商品やサービスの諸費用を負担する契約をする場合です。
例えば、資格がとれたら仕事を提供すると誘引し、資格取得講座や教材を販売する形です。SNSで副業を検索していると、これに関する投稿が出てきます。
④「連鎖販売取引」とは、個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のことです。
以上の販売類型のなかで、クーリングオフの適用があるのは、①電話勧誘販売、③業務提供誘引販売、④連鎖販売取引の3つです。
クーリングオフには期間制限があります。電話勧誘販売は8日、業務提供誘引販売、連載販売取引は20日です。
いつから?ということですが、
特定商取引法が定める法定書面という書類を受領してからです。
ただ、トラブルになるケースでは、そもそもこの書面を交付していなかったり、交付していても不備があることがほとんどで、期間制限に引っ掛からないことが多いです。
⑵ 契約の取り消し
契約の取り消しが出来ますと、契約はなかったことになりますので、支払った金銭の返還を求めることが可能となります。
特定商取引法では、不実の告知(事実と反することを伝えること)、または故意に事実を告げなかった場合に、契約を取り消すことが出来ると定められています。
この適用があるのは、電話勧誘販売、業務提供誘引販売、連載販売取引です。
通信販売の場合であっても、重要な事項について事実と異なること、または不確定な事項について断定的な判断提供をした場合には、消費者契約法という別の法律を根拠に取り消すことが出来ます。
「1日5分で簡単に儲かる」、「必ず儲かる」、「支払った以上の金銭を回収できる」と聞かされていた場合は、これに該当します。
要は、前述の誇大な広告がなされていた場合は、これに該当し、契約を取り消せるケースが多いです。
⑶ 不法行為による損害賠償
勧誘の際に、どのような業務を行い又はサービスを提供するのか,それが契約金に見合ったものなのか,その回収ができないことのリスクについて全く説明しなかったというような場合は、説明義務違反となり、違法です。
また、先の誇大広告も、断定的判断の提供や不実の告知として違法となります。
そうなると、不法行為(民法709条)を根拠に、業者に対し、損害賠償請求を行うことが可能です。
4.まとめ
・情報商材のトラブルが増えている。
・「必ず儲かる」、「楽して儲かる」といった誇大広告の場合は、返還請求出来る可能性が高い
・支払った代金は、クーリングオフにより返還請求できる可能性が高い
・クーリングオフの適用がなくても、別の法的根拠に基づき返還請求できる可能性がある
・個人で返還請求しても拒否されるので、弁護士に早急に依頼して対応した方がいい
5.支払った情報商材代金の返還に関するご相談は当事務所へ
当事務所にご依頼いただければ、支払った詐欺的な情報商材の代金の回収をお手伝いいたします。
早急にご依頼いただくことをお勧めします。
電話による相談も可能で、遠方にお住まいの方からも多数のご依頼をいただいております。
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6.情報商材トラブルの解決事例
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