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錦糸町の弁護士へ法律相談 | 鈴木淳也総合法律事務所 - 【口座譲渡は犯罪収益移転防止法の違反】不起訴となるのか

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【口座譲渡は犯罪収益移転防止法の違反】不起訴となるのか

カテゴリ: 犯罪・刑事事件  公開日:2021年05月01日(土)

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画像1 東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。

 

 

①SNSで副業などを検索していると安易に稼げる案件があるという投稿を目にし、②連絡を取り合ったところ、キャッシュカードと暗証番号が必要であると言われて疑うこともなく譲り渡してしまったが、③その口座が犯罪に利用されて預金口座が凍結されてしまった、という方からの相談、依頼を受けることがあります。

 

他人に通帳やキャッシュカードを譲り渡す行為(口座譲渡・売却)は、犯罪となることがありますし、譲渡・売却のために口座を開設すると詐欺罪が成立します。どのような場合に犯罪となるのか、以下で解説します。

 

 

 第1.犯罪収益移転防止法違反

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1 犯罪収益移転防止法とは

既に開設されている口座の通帳やキャッシュカードを他人に譲り渡す(譲渡・売却)場合はどうなるのか。

犯罪収益移転防止法に違反する可能性があります。

 

犯罪収益移転防止法という名前は聞きなれない方もいらっしゃると思います。

どのような法律なのか?

 

犯罪収益移転防止法の第1条(目的)には、以下のような記載があります。

この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることに鑑み(中略)

 

犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

つまり、犯罪で得た収益を簡単に移転出来ないようにするというものです。

預金口座に関して言いますと、被害者が金銭を振り込む際に振込先として指定される形で犯罪に利用されます。振込まれた金銭自体が犯罪収益です。そして、この収益がさらなる犯罪に利用されるという流れが存在しています。これを防ごうというのがこの法律となります。

直感的に預金口座を第三者に譲渡するのはよくないということが理解できると思います。

 

 

2 犯罪となる場合

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⑴ 他人になりすまして口座を利用する目的で通帳・キャッシュカード等を譲り受ける行為(犯罪収益移転防止法28条1項前段)

 

⑵ ⑴の目的を知りながら、通帳・キャッシュカード等を譲り渡す行為(犯罪収益移転防止法28条2項前段)

 

 ①通常の商取引又は金融取引として行われるものでなく、②その他の正当な理由もなく、③有償で通帳・キャッシュカード等を譲り受け、または譲り渡す行為(犯罪収益移転防止法28条2項後段)

 

以上は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金となります。

 

特に、⑶は、口座譲渡とはいえ騙された被害者といえるようなケースであっても成立することになりますので、注意が必要です。

 

最近は店舗を持たないインターネットバンクが増えており、キャッシュカード自体がそもそもないケースもありますが、インターネットバンクの自身のページや同銀行のスマホアプリへのログインIDやパスワード、ネット上での送金に必要なパスコード等を伝えて、他人が口座を利用できる状態にした場合にも犯罪収益移転防止法違反が成立します。

 

3 裁判例

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以下は、一見して譲渡した側が騙されて被害者のように思われるような口座譲渡のケースの事案で、犯罪収益移転防止法違反が認められると判断された裁判例です。

(東京高等裁判所平成26年6月20日判決)

 

〇事案

氏名不詳者に対し,後日融資を受ける約束で,自己名義の通常貯金口座のキャッシュカード1枚及びその暗証番号を書いたメモ紙1枚を送付し,これらを同氏名不詳者に到達させてキャッシュカードを交付するとともに,暗証番号を提供した。

 

〇裁判所の判断

① 通常の商取引又は金融取引にあたるか

貸金債務の返済又は担保のためにキャッシュカードを交付することについては,キャッシュカードを他人に貸与することが一般に取引規定(約款)等で禁じられていることに照らし,それが「通常の商取引又は金融取引として行われるもの」に該当しないことは明らかである。

 

② その他の正当な理由があるか

被告人はAとは電子メールで勧誘を受けて電話で話をしただけであり,Aが本名かどうか,どこかの組織や事務所に属しているのかも分かっていなかった。融資について契約書等を交わしておらず,貸主が誰かも不明であったし,カードの送付先は実際には私書箱であった。そうすると,被告人は,Aが本件キャッシュカードを悪用しないだろうと信頼できる状況にはなく…正当な理由がある場合には該当しないというべきである。

 

③ 有償取引か

本件キャッシュカードを交付することは、…30万円を借り受けるための条件になっていたと認められる。そうすると,被告人は,融資を受けるという対価を得る約束で本件キャッシュカードを交付したといえるから…有償性を肯定できる。

 

 〇結論

犯罪収益移転防止法違反となる

 4 早めの自首を検討

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このように、一見すると口座をだまし取られた被害者と思われるケースであっても、安易に譲渡してしまったことで犯罪収益移転防止法違反となってしまうのです。

 

後述のとおり、譲渡した口座は、犯罪に利用されることとなりますので、譲渡した方は遅かれ早かれ警察に譲渡した事実が発覚することになります。

 

そうすると、 捜査・処罰の対象となりますので、弁護士に相談し自首を早急に行うことが望ましいです。

不起訴となる可能性があります。早めに弁護士にご依頼されることをお勧めします。

 

【実際に逮捕され報道に至ったケース】

岐阜県教育委員会などによりますと、男性教諭は2022年3月、第三者に譲渡する目的で3つの金融機関で口座を開設しました。その後、この口座は特殊詐欺事件で使用され、男性教諭は口座譲渡の疑いで2023年2月に逮捕されています。(CBCnewsより引用)

 

埼玉県内の高校に勤務する教員の男が自分で使う予定がないにも関わらず銀行口座を作り、キャッシュカードを他人に譲り渡したとして逮捕されました。(中略)警察によりますと去年9月、警察が特殊詐欺事件を捜査していたところ、容疑者の名義の口座が使われていたことがわかり、事件が発覚したということです(2023年10月25日 TBS NEWS DIGより引用)。

 第2 口座が凍結される

口座凍結

 

渡してしまった通帳やキャッシュカードの口座は、特殊詐欺や闇金に利用されることになります。

 

そのような場合、被害者がどの口座にお金を振り込んだのか、警察に被害を申し出て警察経由で、または弁護士に依頼し弁護士経由で口座凍結要請がなされ、口座が凍結されることになります。

 

 

これらの口座は、リスト化され、全国銀行協会を通じて各銀行に共有されることになるため、同一名義での口座も凍結される可能性があり、新規での口座開設も困難となる可能性があります。

 

他口座の凍結や新規口座開設の拒否はあくまで各金融機関の個別の判断となりますので、絶対そうなるというわけではありません。

実際、当事務所の依頼者の中には、新規で口座開設が出来た方もいらっしゃいます。

 

譲渡した口座と同じ金融機関で開設している口座であても給与振り込みといった生活のために必要な口座であったため、凍結されなかったというケースもあります。

 

 第3.金融機関に対する詐欺罪

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口座を譲渡するにあたり、指南役からメガバンクとゆうちょ銀行の口座を指定されることが多くあります。それらの口座を持っていない場合は、口座開設を求められることもあります。

 

指南役は、インターネットを通じて簡単に口座開設が出来る方を教えてきます。

 

そのため、スマートフォンを用いて、特にためらいもなく譲渡する目的を隠して口座開設をしてしまったという方が多くいらっしゃいます。

 

銀行で預金口座を開設する場合、銀行員からどういう目的で利用するのかなど細かく聞かれることが多いです。

 

他人に譲渡する目的であることを金融機関に伝え場合、口座開設を断られます。

前述のとおり、特殊詐欺で銀行口座が利用されることが多いため、犯罪に利用されないように、銀行は預金口座の開設段階から厳しくチェックしているのです。

 

そのため、 銀行で預金口座開設する際、他人に口座を売却したり使用させることを決めており、それを隠して口座開設申し込みをして預金通帳を受け取ると詐欺罪(刑法246条1項)が成立します。以下のとおり、最高裁判例もあります。

 

銀行支店の行員に対し預金口座の開設等を申し込むこと自体,申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する意思であることを表しているというべきであるから,預金通帳及びキャッシュカードを第三者に譲渡する意図であるのにこれを秘して上記申込みを行う行為は,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これにより預金通帳及びキャッシュカードの交付を受けた行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである(最高裁判所平成19年7月17日決定)

 

このように、既に手持ちの口座だけではなく、譲渡するために新たに口座開設をしていた場合は、犯罪収益移転防止法違反のほか、口座開設した金融機関に対する詐欺罪も成立することとなるのです。

 

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。前述の犯罪収益移転防止法違反とは異なり、罰金刑がありません。したがって、詐欺罪について起訴する場合は、略式罰金とはならず、正式裁判のなかで懲役刑を求刑されることとなるのです。

 

 

使用していた口座を譲渡しただけの場合に比べるとさらに悪質ですので、逮捕される可能性が高くなるといえます。

前述の【実際に逮捕され報道に至ったケース】の2つの事案も、自己使用していた口座を譲渡したのではなく、譲渡する目的で口座を新たに開設しています。

 第4 通帳・キャッシュカードを譲渡してしまった方は当事務所へ

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以上のとおり、他人に通帳やキャッシュカード等を渡してしまう(譲渡・売却してしまう)
と犯罪収益移転防止法違反となる可能性があります。

 

また、譲渡した口座等は特殊詐欺や闇金といった犯罪に利用されることとなります。

 

早めに警察に出頭し、事実を全て申告して特殊詐欺や闇金の捜査に協力することで、不起訴となる可能性はあります。

 

弁護士にご相談ください。

 

当事務所では、刑事弁護に関しまして、積極的に取り扱っております。

初回相談料は無料です。

 

当事務所の料金表

 

相談は事前予約制です。問い合わせフォームから問い合わせいただき、面談予約をお取りください。

電話による相談も可能で、遠方にお住まいの方からも多数のご依頼をいただいております。

 

 

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 第5.解決例

20代 女性  副業という話に便乗して通帳、キャッシュカードを譲渡。自ら出頭して不起訴を獲得

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SNSで副業をさがしていたところ、月100万円以上稼げるという投稿を目にして連絡をとった。トレーダーと一緒に取引すれば高額な利益を上げられる、投資資金はこちらで用意するので利益を管理する口座を貸して欲しいと言われ、通帳、キャッシュカードを指定された方法で送り、暗証番号を伝えた。その後、連絡は途絶え、金融機関から口座凍結の連額が来て、口座が犯罪に利用されたことを認識し、当事務所の相談に来られた。

犯罪収益移転防止法にあたる行為であるため、早急に警察への出頭に同行した。家族に知られたくないということで、弁護士が身元引受人となった。その後、依頼人は警察の捜査に協力したが、検察庁へ事件が送致された。弁護活動の結果、不起訴で終結。

鈴木 淳也弁護士からのコメント

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依頼者の方は、被害者という認識で当事務所にいらっしゃいました。たしかに、だまし取られたといえますが、譲渡した口座が実際に犯罪に利用されていますし、口座を他人に譲渡することが禁止されていること、本件が犯罪に該当することをお伝えしたところ、早めに対処したいということでしたので、警察への出頭の同行、その後の刑事弁護を担当し、不起訴で終わることが出来ました。

 

 

20代 男性 銀行からの融資にキャッシュカードが必要と言われ送付してしまった 

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SNSで知り合った人物から知り合いの銀行員が融資の便宜を図ってくれる、融資できるかどうかの判断にキャッシュカードが必要であるといわれて指定された方法で送付。ネットで入出金履歴を見ると見知らぬ人から数十万が入金された後、すぐに全て出金されていた。その後、口座凍結されて、口座が犯罪に利用されたことを認識し、当事務所の相談に来られた。

弁護士が報告書を作成のうえ、警察への出頭に同行した。弁護士が身元引受人にもなった。その後、依頼人は警察の捜査に協力した。検察庁へ事件が送致されたものの、弁護活動の結果、不起訴で終結。

 

30代 女性 返済不要の案件があると持ち掛けれて3口座を開設し、4口座のキャッシュカードを送付

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SNSを通じて返済不要の案件という投稿を見つけました。1つの銀行あたり50万円が返済不要でもらえる案件で、申請手数料10万円を控除した40万円が貰えるということでした。申請にはその銀行のキャッシュカードが必要といわれました。口座を持っていない銀行については口座を開設しました。キャッシュカードを送って数日後に口座を凍結する書面が金融機関から届き、当事務所にご依頼されました。

 

弁護士は、今回の件で口座を開設した点について詐欺罪に当たる行為であり、キャッシュカードの譲渡が犯罪収益移転防止法違反に当たると依頼者様に説明し、依頼者様と一緒に最寄りの警察署へ行きました。その後、検察庁に事件は送致されましたが、弁護活動の結果、不起訴処分となりました。

 

 

 

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