【窃盗・万引き】逮捕、勾留されるのか?懲役回避、不起訴に向けた示談
東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。 |
刑事事件の中の窃盗事件について解説していきます。
目次
1.窃盗罪とはどのような犯罪か
⑴ どのような場合に窃盗罪が成立するのか
窃盗罪とは、刑法235条で定められていう刑です。
窃盗とは,他人の物をその人の意思に反して自分の支配下に置くことで生じる犯罪です。
誰かの占有下にある物である必要がありますので、例えば道端に落ちている物を拾って自分の鞄に入れても、
窃盗罪は成立しません。遺失物横領罪です。
①類型
窃盗には様々な類型があります。
A.侵入盗
侵入盗というのは、侵入して窃盗をする行為で、一番多いのは家に侵入する空き巣です。その他、事務所荒らし等があります。
B.非侵入盗
非侵入盗で一番多いのは万引きです。その他、置き引き、すり、ひったくりなどがあります。
C.乗り物盗
乗り物等というのは、乗り物を盗む行為で、自転車盗が一番多いです。その他、オートバイ等、自動車盗があります。
認知件数でいうと、侵入盗が一番少なく、非侵入盗が一番多いです。
②常習の場合
過去10年間に3回以上,6ヶ月以上の懲役を受けたことがある者が常習としてまた窃盗を行った場合には,常習累犯窃盗となります(盗犯等の防止及び処分に関する法律)。
⑵ 窃盗罪はどのくらいの刑の犯罪か
法定刑は、10年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金,となっています。
ただし、前述のとおりの常習性がある場合、通常の窃盗に比べて重い、3年以上の懲役となります。
窃盗の類型により、課せられる刑は変わってきます。万引きは比較的軽微な部類ですので、初犯であれば懲役刑になる可能性は低いです。一方で、侵入盗になってきますと、初犯でも懲役刑になる可能性が高く、特に被害金額次第では実刑となる可能性があります。
2.窃盗罪による逮捕、勾留
⑴ 窃盗罪での逮捕状況
司法統計によりますと、窃盗事件の3割程は逮捕されるに至っています。共犯者がいたり、前科があるといった場合には、証拠隠滅の可能性の兼ね合いもあり逮捕がされやすくなります。
⑵ 窃盗罪による勾留
逮捕後、勾留決定がでると10日ないし20日間の身柄拘束が続くことになります。逮捕後からすぐに弁護人がついていれば、検察及び裁判所に対して勾留する必要性がないことを資料をもとに説明をし、勾留されないように働きかけることができます。勾留請求されても、勾留請求の却下を求めていきます。
統計によりますと、窃盗罪で勾留される割合は、逮捕された人の80%以上です。逮捕されてしますと、かなりのケースで勾留が認められているということになります。
ただし、犯罪事実を認めている自白事件であれば、弁護士が検察や裁判所に意見書を提出することで勾留を回避できる可能性があります。また、勾留中に示談が成立することで勾留期間途中で釈放されることもあります。
したがって、早期に身柄解放を求めるのであれば、早急に弁護士を付けて活動してもらう必要があります。
3.示談への流れ、示談金
⑴ 示談への流れ
被害者の方の連絡先は、弁護人がついていなければ、検察や警察から教えてもらえません。したがって、窃盗事件で示談を希望されるのであれば、弁護士に依頼しなければならないことがほとんどであるといえます。軽微な万引き事案の場合などは、直接店舗と本人で交渉できるケースもありますが、感情的になりやすく新たな加害行為をしてしまう可能性もあるので、なるべく弁護士を間に入れて行った方が望ましいです。
被害者の方への謝罪の気持ちを示すためにも、できる限り早期に弁護人に示談交渉を依頼されるのが得策です。
⑵ 示談金の相場
窃盗事件では経済的被害が明確となりますので、基本的には被害金を弁償することとなります。ただし、被害者は警察に行って話をしなければならない等の負担を強いられていますので、被害金以外にも迷惑料として金銭を上乗せして示談することが多いです。迷惑料というのは数万程度が通常ですが、被害者の方が要した労務が多い場合には、さらなる上乗せをしての示談となります。
⑶ 示談が成立すると
前科がなければ、示談の成立により不起訴処分となる可能性が高まります。仮に起訴されても執行猶予が付き実刑を回避できるケースが多いです。
そもそも、被害額が低額で初犯であれば、示談が出来なくても不起訴か罰金になる可能性が高いです。
4.クレプトマニア
万引き行為を繰り返す人の中には,クレプトマニア(窃盗症)といって強い衝動に駆られ,必要のないものを繰り返し盗んでしまう精神疾患を有した方がいます。治療を行わないと、今後も窃盗を繰り返してしまう可能性が高いです。
ですから、専門の医療機関に行って診断してもらい、治療を継続していくことが必要です。
本人には、専門医療機関での治療を誓約する書面を作成してもらい、それを検察に提出し、不起訴処分や罰金といった寛大な処分を求めていくことになります。
5.まとめ
以上のとおり、窃盗行為をして刑を軽くしたり、前科を付けないために示談を成立させるためには、早急に弁護士に依頼して適切な活動をすることが不可欠です。当事務所では、刑事事件を積極的に取り扱っています。初回は相談料無料です。
電話による相談も可能で、遠方にお住まいの方からの依頼も承っております。
ご相談は事前予約制です。問い合わせフォームからお問い合わせいただき、面談の予約をお取りください。
6.解決例
女性 数万円の万引きで逮捕 勾留請求をしないように検事に交渉し釈放
いくつもの店舗を有するスーパーの複数のフロアにて生活用品や食品など数万円相当を万引きし、窃盗の被疑事実で現行犯逮捕されたという事案。 ご家族が心配して当事務所にいらっしゃり刑事弁護の依頼をされました。 早く釈放して欲しい、示談をして前科をつけないで欲しいというのがご家族の希望でした。
ご本人は病気を抱えており薬は服用できていましたが、早期に身柄を解放してもらう必要が高い事案でした。必要な客観的資料を早急に揃え、送致される日の午前に検察庁に勾留請求しないように求める意見書と共に提出したところ、勾留請求を阻止することに成功しました。 その後は、被害店舗に対して万引きした被害金全額の弁償を行い、無事不起訴処分にしてもらうことに成功しました。 |
鈴木 淳也弁護士からのコメント
本件は被害金が万引きにしては高額であったため逮捕までされた事案です。逮捕されたのち、勾留請求をされてしまうと勾留が認められる可能性が格段に高くなり身柄拘束期間が長くなってしまいます。被疑者ご家族の協力のもと、早急に資料をそろえて、弁護士が検察庁に勾留請求をしないように求める意見書を提出したことで、担当検事が総合的に判断し勾留請求をしないでもらえたという事案です。大きなスーパーでの万引きの場合、示談に応じてもらうことは困難ですが、被害店舗に万引きした被害金の弁償だけでも行い、不起訴となりました。 |