(コラム)緊急事態宣言と企業の対応、休業手当
新型インフルエンザ特別措置法に基づき、緊急事態宣言が本日出されようとしています。
未曽有の事態ですので、企業としてどのように対応すべきか迷うところであります。
そこで、労務面に関して解説いたします。
1.休業する必要があるのか
「緊急事態宣言」が出ると、対象地域の企業は活動を停止しなければいけないのか悩むところです。
新型インフルエンザ特別措置法により、緊急事態宣言が出されても、諸外国のようにロックダウン(都市封鎖)のような強制力の強い行為がなされることはありません。都道府県知事は以下のようなことを行えるようになります。
①外出の自粛要請
②学校や興行施設の利用制限の要請・指示
③臨時医療施設の開設に必要な土地の強制使用
強制力が強いのは、③であって、①,②はあくまで任意のものであり、違反による罰則はありません。
したがって、緊急事態宣言が出されても企業活動の停止を強制されることはありません。
ただし、都道府県知事が施設管理者に指示をすると公表されますので、事実上は要請を拒みにくくはなります。
2.休業手当の要否
このように、緊急事態宣言が出されたからといって、直ちに企業が休業しなければならないわけではありません
したがって、企業が従業員を休業させる場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」(労働基準法26条)にあたりますので、原則として、企業は従業員に対して休業手当を支払う必要があります。
ただし、不可抗力による休業といえる場合には、使用者の責に帰すべき事由ではないため、休業手当は不要となります。
具体的には、緊急事態宣言が出され、都道府県知事から協力要請を求められた場合に、テレワークなどの代替手段もなく従業員の休業を回避し得ないような場合には、不可抗力による休業といえる可能性があるでしょう。
その場合には、従業員の補償をどうするのか、重要な問題となります。