財産分与で配偶者が預金等の財産を隠す時の対応方法
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東京都墨田区、錦糸町駅近くにある鈴木淳也総合法律事務所です。 |
離婚する際に問題となるのが財産分与ですが、配偶者が財産を誠実に開示せず隠しているというケースが多々あります。 離婚する段階にある夫婦間では、信頼関係が弱体化しているため、財産を隠しているのではないかとついつい疑ってしまうこともあります。財産隠しをされたままだと、少しの財産しかもらえなくなるのではないかと不安になられるのはごもっともです。
そこで、財産分与で相手方が預金等の財産を隠している時の対応方法について解説します。
目次
財産分与の対象財産
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産が対象となります。
具体的には、預貯金、家、車、保険の解約返戻金、株式等です。
婚姻期間前から有していた財産は、その配偶者の特有財産として財産分与の対象にはなりません。
ただ、預貯金や保険に関しては、婚姻期間前から有していたとしても、婚姻期間中も入出金があったり、保険料の支払をしているのであれば、一部財産分与の対象になってきます。
財産分与となる財産の主張立証責任
財産分与の対象となる財産の存在は誰が主張・立証する責任を負うのか?
原則は、財産があると主張する側です。
例えば、夫が〇〇銀行の預金を持っているはずなので財産分与の対象財産に含めるべきだと妻が主張するのであれば、妻の方でその預金口座の存在を立証しなければなりません。
立証が出来ないのであれば、その財産は財産分与に含まれません。
したがって、離婚するにあたり、財産分与で財産をもらいたいのであれば、配偶者がどのような財産を持っているのか、ある程度具体的に把握しておく必要があります。
預金等の財産を隠されている場合の対応方法
同居しているのであれば、ご自身で配偶者の財産を調査する機会はたくさんあります。
配偶者の通帳を見つけたら、写真を撮るかコピーをとるかして証拠を保全しておきましょう。
通帳内の取引もチェックしてください。
配偶者が自身の他の口座へ送金していれば、他の口座を把握できるきっかけとなります。
保険会社や証券会社への送金・引き落としがあれば、保険の解約返戻金や株式、投資信託が存在する可能性が高くなります。
通帳が存在しないネット銀行の場合でも、ネット銀行から配偶者宛の郵便物が届くことがありますので、不在票も含め日ごろから確認するようにしましょう。
弁護士が行う調査(弁護士会照会)
弁護士には、所属する弁護士会を通じて照会を行うという形で、調査権限が与えられています。裁判所は関係ありませんので、調停や裁判になっている必要はありません。
①預貯金
金融機関名と支店名が特定されている場合、弁護士会照会により、口座の有無や取引履歴の調査が可能となります。
もっとも、金融機関によっては、名義人の同意がない限り開示に応じないこともあります。
②生命保険
保険会社が特定されている場合、弁護士会照会により、生命保険契約の有無等の調査が可能です。
以前は、保険会社の特定が出来てなくても一括照会が可能でしたが、現在は出来ません。
③株式
証券会社が特定されている場合、弁護士会照会により、株式、債券の取得の有無、銘柄、口数等の調査が可能です。
ただし、証券会社によっては開示に応じないこともあります。
財産分与のための調査嘱託
調査嘱託とは、裁判所を通じて、金融機関等に対して情報の開示を求める手続です。
ですから、協議段階では利用できません。
また、ありとあらゆる金融機関に対して手あたり次第に調査をしてもらうといったことは認められません。
調査嘱託の申立ての際には、金融機関を特定し、財産が存在することが疑われる根拠や理由を主張する必要があります。
まとめ
・財産分与において配偶者財産の存在の主張立証責任は自分自身
・別居前の段階で、配偶者の財産を写真やコピーを取り把握しておく
・弁護士に依頼することで、弁護士会照会を通じて財産調査が可能となる
・裁判所を通じて、調査嘱託をして財産を調査することが可能となる
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財産分与に関しては、配偶者が有している財産に関して主張立証する責任は、ご自身が負うことになります。財産を隠される前に弁護士から助言を受けておくのが望ましいです。
当事務所では離婚問題について積極的に取り扱っています。
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