【離婚】不倫をして家を出て行った妻からの生活費(婚姻費用)の請求は認められるのか
東京都墨田区、錦糸町駅そばの鈴木淳也総合法律事務所です。 |
離婚の相談でたびたびあるのですが、妻が不倫をして子供を連れて家を出て行った場合にも、離婚するまで夫は婚姻費用(生活費)の負担をしないといけないのかについて解説します。
1.婚姻費用とは
婚姻費用というのは、夫婦間で分担する家族の生活費のことです。生活費の支払義務は扶養義務に基づき生じます。
婚姻費用というのは、配偶者に対する扶養面と子供に対する扶養面の二つの顔があります。
離婚すると配偶者の生活費の面倒を見る義務はなくなります。
したがって、別居から離婚までは婚姻費用、離婚後は養育費の問題となります。
婚姻費用=①配偶者の生活費、②子供の生活費
養育費=子供の生活費
そして、婚姻費用を支払う側が義務者、支払を受ける側が権利者と呼ばれています。
2.有責配偶者からの婚姻費用の請求
権利者または義務者の一方が婚姻関係を破綻させる原因を作り出したことが明らかである場合、
その配偶者のことを有責配偶者といます。
つまり、不倫をして離婚原因を一方的に作り出した配偶者は、有責配偶者となります。
それでは、有責配偶者からの婚姻費用の請求は認められるのでしょうか?
裁判所は、不倫をして家を出て行った配偶者からの婚姻費用の請求を求めた事案で、別居ないし破綻について専ら又は主として責任がある配偶者の婚姻費用分担請求は,信義則あるいは権利濫用の見地からして,子の生活費に関わる部分(養育費)に限って認められると解するのが相当であると判断しています(大阪高決平成28年3月18日)
つまり、有責配偶者が子供を連れて家を出て行った場合、義務者は、有責配偶者自信の生活費の面倒は見なくていいけど、子供の生活費について負担しなければならないということです。
子供にとって、両親のどちらが有責かといったことは関係ないという結論は、考えてみれば当然のことでしょう。
夫婦間で扶養すべき子供がいない場合、もしくは有責配偶者が子供を監護する立場にない場合には、有責配偶者が婚姻費用の請求をしても認められないということになります。
3.不倫をしたら婚姻費用の金額負担が増えるのか
先ほどまでは、権利者(婚姻費用もらう側)が有責(離婚原因を作った)である場合を記載しましたが、義務者(婚姻費用を支払う側)が有責であった場合、支払う金額に影響するのでしょうか?
義務者が有責配偶者であっても、それを理由に婚姻費用の負担金額が増額されることはありません。ただし、義務者が不倫相手やその連れ子を扶養していたとしても、そのことを考慮して婚姻費用の金額が減額されることはありません。
4.まとめ
裁判所が有責配偶者と認定するためには証拠が必要となります。不倫であれば、不貞行為の証拠です。
単に、離婚の原因は配偶者にあると主張するだけではダメなのです。
慰謝料請求する場合と同様に、証拠収集が重要となります。
当事務所では、離婚、不倫等の男女問題について積極的に取り扱っています。
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