看護師の方の残業代請求
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東京都墨田区、錦糸町駅近くにて労働トラブルを扱っている鈴木淳也総合法律事務所です。 |
病院で看護師としてお勤めの方の残業代請求について解説します。
看護師の方の残業の傾向
☑ 職場の人出が絶対的に足りておらず残業するのが当然という風潮
☑ 勤務時間外に院内研修や勉強会に参加している
☑ 患者対応に追われ、看護記録を作成している時間がない
☑ 始業時間前、就業時間後に引き継ぎをしている
これらに当てはまる場合は、残業代を請求できる可能性があります。
勤務時間外の勉強会・研修は労働時間にあたる
労働時間とは、明示又は黙示により使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。
院内研修や勉強会については、参加せざるを得ない状況であれば、「指揮命令下に置かれている」と言えますので、労働時間としてカウントすることが出来ます。
勤務時間外の研修や勉強会ということであれば、時間外の労働、すなわち残業にあたってきますのでその時間に関して残業代を請求することが可能です。
指示・命令を受けていない残業でも残業代を請求しうる
必要がないにもかかわらず、所定労働時間を超えて職場に残っていたような場合は、残業代の請求が認められません。労働時間に当たらないからです。
一方で、上司から残業の指示を受けていない場合でも、使用者の黙示の指揮命令下に置かれていると判断できる状況であれば、労働時間として評価されます。
例えば、上司から残業の指示が出ていなくても、残業しているのを黙認していたり、残業しなければ終わらない量の仕事をしなければならない場合です。
このような場合であれば、使用者の黙示の指揮命令下に置かれていることになり残業としてカウントすることができます。
看護師の方が業務が多すぎて看護記録の作成が後回しとなり、終業時刻を過ぎてから看護記録を作成するのが当たり前といった状況であれば、残業をしていることになるのです。
したがって、残業を指示されているわけではなく、単に残業するのが当然という風潮であっても、それは時間外労働として残業代請求が可能となります。
固定の残業手当があっても残業代を請求しうる
毎月決まった手当を支給していることを根拠に、残業代の支払を拒まれることがあります。
〇時間分の残業代として〇円を〇〇手当として支給する旨が明らかになっている場合は、〇〇手当は固定残業手当として扱われます。
しかし、その〇時間を超す残業がされている場合には、手当だけでは賄えませんので不足分を別途残業代として請求することが可能です。
また、そもそも手当の趣旨が明確ではない場合は、固定残業代として扱うことは出来ませんので、全残業時間分について残業代の請求が可能となります。
固定の手当てが支給されているからといって残業代が一切発生しないというわけではありません。残業代を請求できる可能性があることを覚えておきましょう。