IT関係の会社にお勤めの方の残業代請求
![]() |
東京都墨田区、錦糸町駅近くにて労働トラブルを扱っている鈴木淳也総合法律事務所です。 |
IT関係の会社にお勤めの方が残業代請求する際の注意点について解説します。
IT関係の職場の残業に関する傾向
☑ 職場の人出が絶対的に足りておらず残業するのが当然という風潮
☑ 納期の設定が厳しすぎて、残業しないと到底終わらない
☑ クライアントから頻繁に変更要求があり仕事量が増える
☑ 裁量労働制によりいくら働いても残業してないことになっている
☑ 固定残業手当が支給されているためいくら残業しても残業代が出ない
これらに当てはまる場合は、残業代を請求できる可能性があります。
システムエンジニアやプログラマーに裁量労働制が適用されるか
IT系の会社では、裁量労働制が採用されていることを根拠に残業代が支払われていないケースが多々あります。
裁量労働制というのはあらかじめ一日の労働時間を定めておき、それより長く働いても、短く働いても、定められた一定時間を労働したとみなされる制度です。したがって、この制度が採られている場合は、残業代は発生しなくなります。
たとえば、あらかじめ、一日の労働時間を8時間とみなす、と定められていた場合、実際は10時間労働していても、8時間労働とみなされて残業していないことになるわけです。
だったら、どの会社もこの制度を導入した方が残業代を抑えられていいじゃん、と思うでしょうがそうはいきません。
この制度を利用できる業種は、法令でで定められたものに限ります。
裁量労働制の要件
①法が規定する裁量労働制の対象業務であること
②労使協定の締結し、労働基準監督署に届出
③就業規則に裁量労働制の定めがあること
以上を満たしていない場合は、会社は裁量労働制を根拠に残業代の請求を拒むことは出来ません。
システムエンジニアやプログラマーで問題となるのは、裁量労働制のうちの、専門業務型裁量労働制のことです。
労働基準法施行規則22条の2の2 2項2号
「情報処理システムの分析又は設計の業務」については裁量労働制が認められています。
ただし、プログラマーはこれに含まれません。
また、システムエンジニアも以下のとおり一部の業務を除いては、適用されません。
システムエンジニアの仕事は、大きく以下の3つに分けられます。
⑴クライアントから要望を聞き取り、分析してまとめる要求分析・要件定義)
⑵クライアントの要求を実現するための設計(基本設計)
⑶プログラミングされたシステムのテスト(テスト)
このうち、⑴、⑵の業務が中心の場合は、裁量労働制を適用できますが、それ以外の業務が中心の場合は、裁量労働制を適用できません
したがって、プログラマー及びテスト業務が中心のシステムエンジニアの方は、残業代請求が可能です。
固定残業代が支給されていても残業代を請求しうる
毎月決まった手当を支給していることを根拠に、残業代の支払を拒まれることがあります。
〇時間分の残業代として〇円を〇〇手当として支給する旨が明らかになっている場合は、〇〇手当は固定残業手当として扱われます。
しかし、その〇時間を超す残業がされている場合には、手当だけでは賄えませんので不足分を別途残業代として請求することが可能です。
また、そもそも手当の趣旨が明確ではない場合は、固定残業代として扱うことは出来ませんので、全残業時間分について残業代の請求が可能となります。
固定の手当てが支給されているからといって残業代が一切発生しないというわけではありません。残業代を請求できる可能性があることを覚えておきましょう。
まとめ
・IT業界は残業が多くなる環境にある
・プログラマー、テスト業務がメインのシステムエンジニアには裁量労働制を適用することは出来ない
・固定残業代が支給されていても、想定を上回る残業時間については残業代請求が可能
残業代請求をお考えの方は、当事務所へご相談ください。
初回相談料は無料です。
当事務所では、電話面談も実施しておりますので、遠方の方からもご相談、ご依頼いただいております。
面談は事前予約制です。問い合わせフォームからお問い合わせいただき予約をお取りください。