(コラム)マスクの送り付け商法に注意
マスク不足が叫ばれるなか、新型コロナウイルスに便乗し、マスクを一方的に送り付けたうえで、高額な代金を請求する消費者トラブルが発生しています。
マスクを受領した以上、代金を支払う必要がるのか、急いでマスクを返還しないといけないのか心配になると思います。
そこで、対応方法等について解説します。
1.売買契約は成立しているの?
マスクに限らず、一方的に商品を送り付けて高額な金銭を請求する消費者トラブルはこれまで多数生じています。ネガティブオプション(送り付け商法)といいます。
送り主は、マスクの対価として代金を請求しているのですが、代金を支払う義務が生じるためには、売買契約が成立している必要があります。
注文していない商品が送られて来た段階では、売買契約は成立していません。あくまでも、送り主からの売買契約の申込みがあっただけです。商品を受領した人が、この売買契約の申込みを承諾して、初めて売買契約が成立します。
したがって、送られてきたマスクを受領しただけでは、売買契約は成立していませんので、代金を支払う必要はありません。
ただし、商品を使ってしまうと、売買契約の申込みを承諾したと扱われてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
2.商品を返還する義務があるの?
ネガティブオプションでは、数日中に商品を返還しなければ契約が成立したことになります等といった書面が同封されていることがあります。しかし、商品を返還しないからといって契約が成立したことにならないのは、前述のとおりです。
とはいえ、いつまでも商品を手元においたままでいいのか?
答えは、送り主が引取りに来るまで手元に置いたままでいい、です。こちらから積極的に連絡して個人情報を相手に教えることは控えましょう。
特定商取引法によれば、送り主が積極的に商品の引取り行為をするように求めています。送り主は、商品を送付してから2週間以内に商品を引き取らなければ、商品の返還請求権を失います。
したがって、引取りに来ないまま2週間が過ぎたら、受け取ったマスクを自由に費消して構いません。
それまでは、商品に手を加えず、放置しておきましょう。
3.代金引換郵便は注意
代金を支払う必要がないことはご理解いただけたと思います。
もう一歩進んで、代引き取引の場合は注意が必要です。
自宅に来た宅配便が代引きであった際、送り主等の確認をしないまま、家族が注文したものなのかなと勘違いして代金を支払い受け取ってしまうことがあります。
結果的には誰も注文していないのですから、支払った金銭を返してもらうことは出来るのですが、現実的には相手を特定するのが困難であったり、特定出来ても無視するなどして返還してもらえないことが多いです。
ですから、身に覚えのない代引き荷物の受け取りは拒否しましょう。